余裕資金で住宅ローンの返済を急いだために、退職前日には金融資産がほとんど無く、退職日に受け取った退職金が唯一の金融資産となった場合をイメージしてみましょう。

全額が銀行預金ではインフレが心配なので、一部を株式投信に振り向ける必要性を感じて一気に多額の投資信託を買ってしまうかもしれませんよ。たまたまその日が株価の安い日であればラッキーですが、その日が株価の高い日であった場合には多額の損失を被ることになりかねません。

老後に向けた貯蓄は株式投信の積立で

そうしたリスクを避けるためには、現役時代から時間をかけて少しずつ株式投信を購入していけば良いのです。住宅ローンの繰上げ返済をする余裕資金があるのなら、老後のために毎月少しずつ投資をしましょう。

長期間にわたって少しずつ投資信託を買っていけば、高い時も安い時も買うことになるので、大儲けは狙えないでしょうが大損のリスクも小さくなります。「退職日に一気に多額の投資信託を買うことによって、運悪く多額の損失を被ってしまう」というリスクを避けることができるわけです。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト>>

塚崎 公義