次に、ひとりで老後生活を送るとき、特に気になる「介護」の費用を見ていきます。
LIFULL介護ホームページより、老人ホームの費用相場は下記のとおりです。
有料老人ホーム
- 入居時費用:540万円
- 月額費用(入居時費用あり):23万1000円
- 5年間費用の合計:1926万円
※「5年間費用の合計」は入居されてから退去されるまでの平均入居期間5年で筆者が独自に計算。
自分が介護状態になるのか、不安なところではありますが、仮に自分では生活が困難になった場合、上記の額を準備しておくと、安心してひとりでも老後の生活が送れそうです。
独身の方の場合、介護費用の準備も必要と考えるならば、最低でも2300万円ほどの貯蓄があれば安心というところでしょうか。
60代独身の貯蓄事情とは
実際に60代の独身で「貯蓄2300万円以上」を保有している方はいるのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和2年)」によると、60歳代の金融資産保有額は下記のとおりです。
60歳代の金融資産保有額(金融資産保有世帯)
- 平均値:1872万円
- 中央値:860万円
平均値の方が大きな値となっていますが、これは極端に大きな値が全体の値に影響を与えているためです。そのため実態より数値が乖離してしまう場合があります。
中央値とは、数値を小さい順、あるいは大きい順に並べてちょうど真ん中にくる数値を指します。平均値より実態に近い数値と言えるでしょう。
よって中央値で見てみますが、60代の貯蓄額は860万円となっています。
この金額だと、先程計算した、必要と考えられる2300万円には1500万円程度不足することになります。
生活費を切り詰めたとしても、病気や介護の問題が生じたときは、まとまったお金が必要となります。現状の水準の貯蓄額だと少し心許ない金額かもしれません。