トランプ相場で国ごとに明暗が色濃く出た1週間
先週(11月14日‐11月18日)の世界の株式市場は、まちまちでした。日米株がしっかり上昇し、欧州・中国株がほぼ値を保ちましたが、新興国ではまちまちでした。週間騰落率はTOPIXが+3.6%、米S&P500が+0.8%、独DAXが横ばい、上海総合が▲0.1%でした。
今週のハイライトは、イエレンFRB議長が議会証言で2016年12月の米国の利上げをほぼ確定にしたことです。一方、日欧金融当局は金融緩和の継続ないし米国を起点とする長期金利の上昇に歯止めをかける姿勢を示しました。この結果、長期金利は米国の上昇が突出することになり、ドル高が続き、先進国株もおおむね堅調でした。特に円が対ドルで最も下落し、日本株は円ベースで高いパフォーマンスになりました。
新興国株は、まちまちでした。原油価格の上昇で産油国通貨が上げ、ロシア、フィリピン、ブラジル、シンガポールの株式市場が上昇する一方、その他のアジア諸国は下落しています。また、メキシコは利上げを余儀なくされ、通貨は落ち着きましたが株価は下落しました。
アウトルック:クリスマスラリーの物色の柱はトランプ銘柄か
今週(11月21日‐11月25日)はトランプ銘柄主導のラリーが続くのか、トランプ銘柄に限定されないクリスマスラリーに入るのか、物色動向に注目です。
先々週のトランプラリーの初動では、米国ではオールドエコノミーの景気敏感株、銀行株、医薬品株、資源株が上昇し、ナスダック主力のテクノロジー株や通信株が売られました。しかし、先週は12月利上げの確度が高まり銀行株が続伸したことを除くと、初動で上がったオールドエコノミー銘柄は早くも利喰い売りに値を下げ、逆にナスダック主力株や通信株、半導体関連株が上昇に転じています。
短期間に長期金利が急騰したにもかかわらず先進国の株式市場にネガティブな影響が出なかったのは、トランプ政権の経済政策に対する期待の大きさゆえだと思います。しかし、いまはまだ具体策が見える段階ではありません。今後の物色が再びトランプ銘柄になるのか、非トランプ銘柄になるのかは、今週発表予定の米欧のPMI次第になりそうです。週末のブラックフライデーに対する期待も重要になるでしょう。
椎名 則夫