「おひとり様」――元来は一人でレストランなどに来店するお客がこう呼ばれることが多かった気がするのですが、イマドキは「結婚しないライフスタイルを選んだ人」という、明るいイメージが定着した感がありますね。
国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、50歳時点で一度も結婚歴がない人の割合は、女性で14.06%、男性で23.37%(2015年)。その割合は1990年以降、男女ともに右肩上がりとなっています。
さて、みなさん老後は生活にどのくらいお金が必要なのか把握できていますか?
おひとり様にはおひとり様の、所帯持ちには所帯持ちの心配ごとがあるはずです。
人生のターニングポイントともいえる50代。キャリアの上では集大成の時期を迎える人が多い時期。一方で、老後の生活、とりわけ「お金」について具体的なプランや心配ごとが増え始める頃でもあるでしょう。
今回は、そんな50代の中でも、単身世帯(おひとり様)のみなさんのお金事情について見ていきます。
「50代・おひとり様」の貯金事情
まず、「50代・おひとり様」の貯金事情を見る前に、「全世代の貯蓄事情」について参考程度に確認しておきましょう。
金融広報中央委員会が公表する「家計の金融行動に関する世論調査 令和2年調査結果」([単身世帯調査]・[二人以上世帯調査])から抜粋していきます。
同調査の結果によると、世帯当たりの貯蓄額はそれぞれ以下の通りです。
- 金融資産保有額の平均・・・単身世帯:653万円(二人以上世帯:1436万円)
- 金融資産保有額の中央値・・・単身世帯:50万円(二人以上世帯:650万円)
※金融資産を保有していない世帯を含む
では、「50代・おひとり様」の貯金事情を、他の各世代と比較していきましょう。
世代別「単身世帯・金融資産保有額の平均額」
※金融資産を保有していない世帯を含む。 【 】内は同時調査における二人以上世帯の金額
- 20代(~29歳)…平均額113万円、中央値8万円 【平均額292万円、中央値135万円】
- 30代(30~39歳)…平均額327万円、中央値70万円 【平均額591万円、中央値400万円】
- 40代(40~49歳)…平均額666万円、中央値40万円 【平均額1012万円、中央値520万円】
- 50代(50~59歳)…平均額924万円、中央値30万円 【平均額1684万円、中央値800万円】
- 60代(60~69歳)…平均額1305万円、中央値300万円 【平均額1745万円、中央値875万円】
いずれの世代をみても、平均額・中央値ともに、単身世帯は二人以上世帯より下回っています。
とはいえ、年代が上がるにつれて、金融資産保有額の平均額・中央値ともに上昇している点は、単身世帯・二人以上世帯に共通する傾向です。