コロナ禍で迎えた2度目のゴールデンウィーク。

昨年同様、外出自粛の動きや、休業や時短営業を余儀なくされる商店や飲食店などの動向が注視されています。

現役世代にとっては、収入や雇用に影響する問題がまだしばらく続きそうです。

そして定年退職間近、もしくは既にリタイヤ生活を送られていらっしゃるみなさんの中には、ご自身やご家族の健康に加え「老後のお金」に不安を感じて貯蓄や家計の見直しを考えていらっしゃる方も多いはず。

2019年、金融庁のレポートに端を発した「老後2000万円問題」をきっかけに、リタイヤ前の貯蓄目標の目安を2000万円に設定されたご家庭もあるかと思います。

この2000万円という金額は、私たちの多くにとって、簡単に準備できるものではないといえるでしょう。

今回は、老後生活の入り口である60代のみなさんの貯蓄事情をながめながら、「2000万円」の根拠などについても深掘りしていきます。

60代の貯金事情。みんな「2000万円」貯めているのか?

さいしょに、この「2000万円」という金額を念頭に置きつつ、60代世帯の貯蓄状況について見ていきます。

本記事では、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世論調査](令和2年)」を参考にしていきます。

「60代・二人以上世帯」平均貯蓄額と中央値

金融資産保有世帯のみ

  • 平均貯蓄額:2154万円
  • 中央値:1465万円

金融資産を保有していない世帯を含む

  • 平均貯蓄額:1745万円
  • 中央値:875万円

このデータを見る限りでは、「60代のほとんどが2000万円以上貯めている」とはいえないようですね。

【平均値と中央値】

中央値とは、貯蓄額が少ない順、あるいは大きい順に並べた時「全体の真ん中」にくる人の金額を指します。

平均値は一部の極端な値(今回でいうと「金額が多い層」)に引き上げられる傾向があります。反対に中央値は、他の数値に左右されません。よって、中央値の方がより実態を反映しているといってよいでしょう。

 

では、60代の時点で、この「2000万円」という金額を保有する世帯はどのくらいの割合で存在するのでしょうか。次で見ていきます。