働き続けるシニア世代を後押しする制度が整いつつあるこんにち。

50代はセカンドライフの過ごし方、とりわけ還暦以降の人生の青写真を描き始める人が増える時期です。そして迫りくる老後に備えた「お金のこと」に関心が集まる世代ともいえるでしょう。

今回は『50代「みんなの平均」老後に向けたホントの貯蓄額』と題して、還暦前50代の貯蓄事情について、最新の調査結果をもとに見ていきます。

いまどき50代の貯蓄額

ではさっそく、50代世帯の貯蓄事情についてながめていきましょう。

ここからは、2021年2月に公表された、金融広報中央委員会「令和2年(2020年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」を参考にします。

この調査によると、50代・二人以上世帯の貯蓄額は以下の通りです。

50代・二人以上世帯の金融資産保有額

(含:金融資産非保有世帯)

平均値・・・1684万円
中央値・・・800万円

中央値とは、データを小さい順、あるいは大きい順に並べたとき、ちょうど真ん中にくる値を指します。
平均値は「一部のお金持ち層」に引き上げられる傾向にあります。よって、中央値の方がより実態を反映した数値といえます。

続いて、50代の金融資産の保有割合について、その分布も確認していきましょう。同資料より、資産額ゾーンごとの割合を見ることができます。

50代・二人以上世帯の金融資産保有額

金融資産非保有:13.3%
100万円未満:6.4%
100~200万円未満:5.3%
200~300万円未満:5.3%
300~400万円未満:2.8%
400~500万円未満:3.4%
500~700万円未満:8.3%
700~1000万円未満:9.2%
1000~1500万円未満:11.7%
1500~2000万円未満:5.7%
2000~3000万円未満:10.8%
3000万円以上:13.8%
無回答:3.9%

1000万円以上保有する世帯は全体の42%にのぼります。さらに金融資産2000万円以上の層に絞ると全体の24.6%、ほぼ4世帯に1世帯ですね。

こうした分布から、現役時代から着実に貯蓄に取り組む世帯が多いことがうかがえそうです。

その一方で、金融資産を3000万円以上保有する世帯の割合(13.8%)とほぼ同じ割合(13.3%)で金融資産非保有(=貯蓄ゼロ)世帯が存在しています。この「二極化」ともいえる貯蓄格差は看過できない点であるといえるでしょう。