年間収入別の奨学金受給者の割合

大学(昼間部)について、家庭の年間収入別の奨学金受給希望・受給状況を見てみると、300万円以下の家庭では受給者の割合が約8割。以降、年間収入が上がるにつれて奨学金の受給者の割合は少なくなっています(図表2参照)。

図表2:年間収入別 奨学金受給者の割合・大学(昼間部)

出所:日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査報告」を基に筆者作成

とはいえ、年間収入800万円以上900万円未満でも受給者の割合は約2人に1人。900万円以上では「奨学金は必要ない」の割合が約7割近くいる一方で、4人に1人は奨学金を受給しています。このように、高所得世帯であっても奨学金制度を利用している家庭はそれなりにいるようです。

たとえば大学生の子供が複数いたり、まだ住宅ローンの返済が終わっていないという状況もあるでしょう。また、高所得層の家庭では塾通いや私立の中高一貫校への進学など、教育費に多くのお金をかける傾向もあるため、結果的に奨学金の利用につながっているのかもしれません。

大学卒業後には返済が始まる

経済的な理由で進学を迷っている場合、奨学金制度は頼れる味方です。筆者自身、奨学金制度がなかったら全く違う人生を送っていただろうと思います。ただし給付型ではなく、貸与型の奨学金の場合、卒業すると奨学金の返済が待っています。

日本学生支援機構の返済は、貸与終了の翌月から数えて7か月目の月(3月に貸与終了した場合は10月)から始まります。しかも、第一種奨学金(無利子)ではなく、第二種奨学金(利子付き)の場合、在学中は無利子ですが貸与期間終了の翌月1日からは利子が発生します(注2)

受け取った奨学金の総額(貸与総額)によって返済期間は異なりますが、筆者は返済に10年ほどかかりました。一人暮らしをしながらの奨学金の返済は、なかなか大変だったというのが実感です。

注2:返還期限猶予中の期間については利子は発生しない。