実際、過去には2010年の尖閣中国漁船衝突事件、2012年の尖閣諸島国有化宣言に端を発し、中国国内で日本製品の不買運動、反日デモや日本企業への襲撃・放火などが各地で相次いだ。

一方、依然として日本企業の対中依存が高いことは事実だが、減少傾向にあることも大きな注目点だ。

中国に進出する日系企業関係者の中には、長年中国に展開しているが、今後の世界情勢の行方を考えればリスクヘッジが必要なのではと思っている方々も決して少なくないだろう。

日本は欧米と中国との板挟みに

事実、バイデン政権下ではトランプ時代の米中一対一の対立ではなく、英国やフランス、オーストラリアなどを含むより広い対立構図に変化しており、日本はその狭間で難しい立ち位置にある。

今後、日中関係で政治的な摩擦が生じれば、その影響はまず経済領域に及ぶ可能性が高く、中国国内での不買運動や以前のレアアースの対日輸出制限などの理由に使われる恐れもある。

中には、中国からASEANシフトに動き出す企業もみられるが、日系企業の担当者はこれまで以上に政治と経済の連動性というものを注視していく必要がある。

参考資料

和田 大樹