電通の正社員から業務委託への移行
日本の産業構造と一口で言っても、とてつもなく広いものです。そういう意味では、やはり自分の働く業界のことが気になります。筆者は主に広告業界の仕事が生業のため、昨年秋に発表された、「電通、社員230人を個人事業主に。新規事業創出ねらう」のニュースは、やはり、ちょっと衝撃的でした。
この新しい制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種で40代以上の社員約2800人が対象です。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結びます。
電通では副業は禁止ですが、競合他社との業務は禁止という条件で兼業や起業が可能になります。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、新しい業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われるそうです。
さきほど、「ちょっと衝撃的でした」と書いたのは、どこかで“やっぱりな"という感がしたからです。
だいぶ前から、大手代理店では新規会社設立や、分社化が活発に行われていました。たとえば「Webマーケティングに特化した新会社設立」などです。ただ、これも「要は本社の給与体系はもう維持できないから」という噂が、業界末端にいてもガンガン漏れ聞こえてきました。
本当のところは、電通の言う「新しい働き方を求める社員の声に応じて制度導入を決めた」「他社での仕事を通じて得られたアイデアなどを新規事業の創出に生かしてもらう」ということなのかもしれませんが。