1億総活躍社会は1億総リストラから始まる!?

最近は、ビジネス系メディアでも「1億総リストラ」という特集をやっているところもあります。そんな時代のビジネスパーソンのサバイバル術を考えてみます。

よく言われる標準的な意見は、自分の優位性が「自社固有の部分に準拠しているのか」「もっと広く汎用性のある部分に準拠しているのか」を見極め、前者の場合は軽々しく転職はしない、といったところでしょうか。

ただ、こんなお気楽な回答が通用するのも、あと数年でしょう。結局のところ、ジョブ型雇用の目指す世界は「自社固有の部分に準拠している優位性」を否定していく方向ですから。

もっと、極端な例を考えてみます。たとえば「何十年も山に通っていた腕利きのイノシシ撃ちだった」「しかし、ある日、山にイノシシがいなくなった」。さて、どうすれば良いか。

一番カンタンな方法は、イノシシのいる他の山を探して猟師を続ける。それが不可能ならば、自然への知識を活かして、エコツーリズムのガイドになる。狭義の職業(たとえば猟師)という枠組みを超えて、自分の優位性を検証する。それくらいのことしか思いつきません。

どうも前総理の提唱した「1億総活躍社会」は「1億総リストラ」の延長線上にあるのかもしれませんね。これを「与件」として考えるべきなのか。ただ個人的には前総理の考えに与する者ではありません。前総理の考え方は前述の「機会の公平性・平等の担保」や多様性に関して、どの程度、本気なのかがよく分かりませんから。

榎本 洋