一昨年金融庁のレポートで「老後2000万円問題」が話題となりました。まだ記憶に新しい方もいらっしゃるかと思います。

そこでにわかにクローズアップされた2000万円という金額は、一朝一夕に準備できるものではない、というご家庭がほとんどでしょう。

サラリーマンのみなさんであれば、リタイヤ時に受け取る退職金でカバーできそうだ、と見積もっていらっしゃる方も少なくないはず。

昨今、企業の退職金事情は変化しています。

企業型確定拠出年金などのように自分で運用していく制度を採用する企業が増加中。さらに、退職金制度そのものを設けていない企業の割合も増えています。

とはいえ、依然として退職金を老後生活の原資の一つとして位置づける人は少なくないでしょう。

そこで今回は、民間企業の退職金について「社歴(勤続年数)」にフォーカスしながら考えていきます。

退職金「社歴と学歴」でどう変わる?

まず、日本経済団体連合会による「退職金・年金に関する実態調査結果」(2018年9月度)から、学歴別の「標準退職金」をながめていきます。

この「標準者退職金」は、学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出されています。

標準者退職金

  • 大学卒(総合職):2255万8000円
  • 高校卒(総合職):2037万7000円
  • 高校卒(生産・現業):1817万2000円

※退職金額は、退職一時金のみ、退職一時金と年金併用、退職年金のみの場合の額を合算し、単純平均したものです。
また各項目で集計企業数が異なるため、比較の際には留意が必要です。

2000万円のラインは、総合職であれば、大学卒・高校卒ともに超えているようです。ただし、同じ総合職でも大学卒と高校卒の間には200万円以上の差が。

そして、同じ高校卒を比較しても、生産・現業は2000万円には達していません。

次では退職金と「勤続年数」の関係をみていきます。