かつてのワークマンは職人向けの作業服や用品、工具などを販売し、一般客が立ち寄る機会の少ない店でした。しかし現在では作業服で培った技術を一般向けに応用して開発した、高機能かつ低価格なPB商品が人気を集めています。

店内の様子もすっかり変わり、一部店舗はアパレル店さながら。「ワークマンプラス」や「#ワークマン女子」といった新業態展開も活発で、コロナ禍でも好調が続いています。実際、業績はどれだけ伸びているのでしょうか。

近年、著しく変化したワークマン

株式会社ワークマン(7564)は、職人や土木作業員など”プロ向け作業服”の小売店として不動の地位を獲得していましたが、さらなる成長を目指して一般向け衣料に着目。「行こうみんなで ワークマン」の歌詞で知られる吉幾三出演のCMも2016年に終了し、以降はCMもカジュアル路線向けに切り替わっています。

商品別売上構成を見ると、現在でもワーキングウエアや作業用品がメインですが、アウトドア・機能性ウェアを扱うPB商品がネット・テレビで話題となったほか、2018年から展開している新業態店「ワークマンプラス」も着実に店舗数を伸ばしています。

特に近年は大幅な増収増益が続いており、直近の2021年3月期第3四半期もコロナ禍の中、依然好調さを維持しています。2020年秋には女性をターゲットにした「#ワークマン女子」の第一号店をオープン。積極的な市場開拓と一般消費者向け商品の拡大が成功につながっています。

次に具体的な業績推移を見てみましょう。

営業利益がここ3年で1.8倍に

株式会社ワークマンは小売店の単一事業であり、2021年3月末時点で「ワークマン」「ワークマンプラス」「#ワークマン女子」をそれぞれ632店・272店・2店展開し、合計店舗数は906。また、ワークマンではFCが約95%と高い比率を占めているのが特徴です。

一般客向けの成功は近年の業績に如実に現れています。2018年3月期から3期にわたり営業総収入は560.8億円(対前期比7.7%増)⇒669.7億円(同19.4%増)⇒923.1億円(同37.8%増)と目覚ましく拡大。

営業利益は106.0億円(同11.0%増)⇒135.3億円(同27.6%増)⇒191.7億円(同41.7%増)、最終利益は78.4億円(同9.8%増)⇒98.1億円(同25.1%増)⇒133.7億円(同36.3%増)と増益が続き、かつ年を追うごとに増加率が伸びています。

2019年3月期は豪雨によって雨関連商品が好調となったほか、冬には高機能×低価格をテーマにしたPB商品が大幅な伸びを見せています。また、2018年9月に第一号店をオープンした「ワークマンプラス」も客層の拡大に成功しました。

翌2020年3月期には猛暑によってファン付き作業服が伸びたほか、アウトドア関連PB商品の好調が増収に貢献したようです。既存店の121店舗を「ワークマンプラス」に改装転換するなど新業態へのシフトが加速し、利益面では大幅な増収が増益にもつなっています。

2021年3月期第3四半期も、営業総収入831.0億円(前期比16.1%増)、営業利益201.3億円(同23.6%増)、最終利益133.4億円(同22.9%増)と、コロナ禍を感じさせない好調ぶりです。

特に前年比で売上高が前年同期比42.8%増の699.6億円を記録したPB商品の伸びが全体を牽引。「ワークマンプラス」店舗が全体の約30%まで拡大したほか、女性をターゲットとした「#ワークマン女子」を新たに展開して話題となるなど、今後もさらなる成長が期待できそうです。

新業態の成功が投資を呼び込む

次に株価の推移を見てみましょう。10年前の2011年には500円台だった株価は、2018年3月期末に2400円台に。その後、PB商品・新業態店舗の成功と共に伸び続け、2019年3月に5700円台に乗り、同年12月には10000円を突破しました。

コロナショックによって2020年3月は5400円台まで急落しましたが、その後は急速に回復し、同年7月には再び10000円台を記録します。しかし、その後は話題が尽きたのか低調となり、2021年3月下旬以降は8000円前後で推移しています。

★過去10年の株価チャート入れる

今後は好調な「ワークマンプラス」の拡大を続け、PB商品の強化と共により幅広く一般の消費者を取り込む方針を打ち出しています。テストセリング(試し売り)を実施しながらPBブランドを強化するとしていますが、これまで通り成功できるかが今後のカギとなるでしょう。

また、「#ワークマン女子」を通じて女性客の取り込みも狙っていると思われますが、「ワークマンプラス」と同様の成功を目指すには高機能ウエアを使いこなすライフスタイル提案も必要で、かつ女性客の定着には広告戦略も重要となるでしょう。

まとめ

ワークマンはプロ向け市場の成長鈍化を予想し、一般向けへシフトしたことが近年の急成長につながりました。今後もPB商品の強化を通じて「ワークマンプラス」を拡大するとしており、新業態店の「#ワークマン女子」にも期待が持てます。

ただし一般向けは流行など需要変動が激しいため、より市場に対して機敏に動く必要も出てきます。同社の今後の業績動向に要注目です。

参考資料

以下、出所は全て株式会社ワークマン