その結果、運動会などの大きなイベントに関しては、「今年はムダな時間がなくてよかった」という意見も出ています。

「我が子の小学校の運動会は、午前と午後の2部制で開催されました。朝からはまず低学年、昼前以降は高学年というふうに分けて、保護者も自分の子どもが出場する時間しか観覧できない仕組みになっていたのです。この方式を採用した結果、場所取りの行列や抽選がなくなり、どの保護者も確実に子どもの姿をしっかり目に焼き付けることができました。各学年とも2〜3競技は行えていましたし、いったい今まで何にあんなに時間が使われていたんだろうと不思議に思うくらいです」(37歳男性/公務員)

「運動会の会場が密にならないよう配慮してもらえたおかげで、保護者同士の場所取り競争がありませんでした。前から『場所を取っても自分の子どもが出場していないときは、その場所にいる必要なんてないのに』と思っていたので、無駄な競争がなくなって気持ち良く観覧できました。コロナが収まった後も、運動会の開催の仕方については、昨年の方法を続けてもらいたいです」(33歳女性/主婦)

運動会の場所取りを負担に感じていた親も多く、毎年場所取りに苦労していた家庭からは、好ましいという感想が得られました。けれども、運動会も卒園式などと同じく、参加できる保護者を1人に限定したところもあるので、一概にポジティブな意見ばかりでもありません。

「いいところは残し、戻すべきところは戻す」というのが、保護者にとっても子どもにとっても一番いい着地点なのかもしれませんね。

コロナ禍を経て気づく学校行事のあり方

コロナ感染が始まった当初は、不自由ばかり感じていた日常。しかし、人の慣れというのはすごいもので、今やマスクをするのも、人と距離をとるのも当たり前になりました。子どもたちの生活を取り巻く環境も、また同じ。

卒園式・卒業式や運動会など、今まで当たり前に行われていた行事の手順も、当たり前でない部分があることに気づけたのは、コロナ禍の副産物と言えるのかもしれません。

新しい生活様式を取り入れたことで見えた気づきを、コロナ禍が明けた後も活かしていければ、よりみんなが生活しやすい世の中になるのでしょうね。

川西 まあさ