住宅ローンを組んでいる人が気になる話題のひとつに「住宅ローンは繰り上げ返済をすべきか」という問題があります。

繰り上げ返済とは、住宅ローンの一部もしくは全部を、通常の返済とは別にまとめて返済することです。

繰り上げ返済は手数料がかかるのが一般的ですが、最近ではインターネットで手続きすると手数料がかからないところもあったりします。

住宅ローンを組んでいる人の中には、貯金が貯まったら繰り上げ返済をする人もいます。融資金額が減ると金利負担分が軽くなるため、お得と感じる人も多いからでしょう。

しかし、住宅ローンを繰り上げ返済するかどうかは、慎重に検討しなければなりません。

私は大学卒業後、信用金庫での勤務経験があり、FPの資格を持つファイナンシャルアドバイザーとして、多くの方のファイナンシャルプラニングに関わってきました。

そこで今回は、住宅ローンの繰り上げ返済がおススメできない理由や注意したいことについて見てみたいと思います。

住宅ローン減税とはなにか

住宅ローンを繰り上げ返済する時に考慮したいのが住宅ローン減税です。

住宅ローン減税とは

住宅ローンを組んで一定の要件を満たすマイホームを取得した場合、住宅ローンの年末残高又は住宅取得対価のうち、いずれか少ない方の金額の1%を所得税(一部、翌年の住民税)から10年間控除できる制度です。

新築の場合は令和2年10月~令和3年9月末まで、建売住宅や中古住宅等の場合は令和2年12月~令和3年11月末までの期間に契約し、令和4年12月末までに入居した場合は、特例措置で減税期間が13年間に延長されます。

減税制度をしっかりと活用したい人は、借り入れ後10年間(もしくは13年間)は繰り上げ返済をしない方がよいケースも出てきそうです。

最近は超低金利時代です。この状態では繰り上げ返済をするメリットはあまりないと言えるでしょう。

繰り上げ返済は手元資金を確保してから行う

住宅ローンを組む時に、ほとんどの人が団体信用生命保険に加入することになります。

この団信は何かというと、債務者(住宅ローンを組んでいる人)に万が一のことがあった場合に、住宅ローンが完済できる保険です。

保障内容は加入時にいくつかのプランの中から選ぶことができますが、保障内容によっては住宅ローンの金利が0.2~0.3%程度上乗せになるものもあります。

繰り上げ返済した後に万が一の事があって所定の状態になった場合、加入するプランによって住宅ローンは完済になる場合もあります。

しかし繰り上げ返済で手元に十分な貯金がない状況で、治療費や生活費が捻出できず、生活に行き詰まってしまうのは避けたいところです。

繰り上げ返済後に何かあっても、経済的に困らない保障や預貯金は確保できていた方が安心ですよね。

焦って繰り上げ返済をするのではなく、返済後の生活をよくよく考えてからにしましょう。

住宅ローンより低利でお金を借りる方法はない

こまめに繰り上げ返済をしてローン残高が減っていくのが楽しいという人もいるかもしれません。

しかし、手元の預貯金を繰り上げ返済に充ててしまうと、前述したように、急にまとまったお金が必要になったとき、手元資金が足りなくて困ってしまう事態になりかねません。

当たり前のことですが、繰り上げ返済をしたあとに、お金が必要になったから返してほしいといっても応じてもらえるワケがありません。

今のところ、住宅ローンより低金利でお金を借りる方法はありません。

例えば、住宅ローンを繰り上げ返済したあと、教育資金や自動車購入資金などが足りなくてローンを組む場合、住宅ローン以上に高い金利で借りざるを得ないのです。

そう考えると、手元現金を確保しておく大切さが分かりますね。

また、繰上げ返済に勤しむあまり、手元の現金が十分にないまま失業や休業などで給与収入が激減した場合、住宅ローンの返済が滞ってしまっては本末転倒です。

少なくとも超低金利の間は、無理して住宅ローンを繰り上げ返済するのは考え直し、手元の現金を確保しましょう。

毎月の生活費に余裕がある場合は、老後の生活費のために積立投資をするなどして資産を増やすことを優先させる方が理に適っていると言えます。

予想外に資産が増えれば、その資産は将来の繰り上げ返済の原資にも充てることができます。

おわりにかえて

「金利がもったいないし住宅ローンは早く終わらせたい」と思っている人もいるでしょう。

しかし、昨年から続くコロナ禍で、それまで順調に返済していた住宅ローンが急に返せなくなる人が増えているようです。

避けたいのは、住宅ローンの返済が延滞してしまうことです。一回でも延滞してしまうと、自分の信用に傷がついてしまうので、このことは肝に銘じておくべきです。

万が一のとき、重要なのは保険と貯蓄です。無理に住宅ローンを繰り上げ返済する前に、万が一の場合の備えがあるのか十分ご検討ください。

また、住宅ローン完済後も生活は続いていきますので、毎月の固定費を見直しながら毎月積立投資をする資金を捻出できると良いですね。

最近では資産運用の無料セミナーなどもオンラインで開催されていますので、これを機に一度ライフプランを見直してみてはいかがでしょうか。

参考資料