2019年、金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書に端を発した、いわゆる「老後2,000万円問題」が注目を集めました。
これをきっかけに老後に向けた資産形成のあり方を考え直された、というご家庭は多いでしょう。
住宅ローンやお子さんの教育費・・・。働き盛りの現役世代のなかには「目前の出費をやりくりするだけで精一杯。老後の生活費は年金と定年退職金でどうにかなるだろう」と考えている方も多いかもしれませんね。
ところが、最近、退職金の金額は減る傾向にあります。
また、退職金を支給するかどうかは企業側の裁量に任されているため、退職金の制度自体がない企業もあります。また、産業よっても偏りがあるようです。
今回は『定年退職金が「ない」会社の割合はどのくらいか【産業別】』と題し、ちかごろの退職金事情を追っていきます。
【産業別】退職給付制度の実態とは?
退職給付金の受け取り方は2通り。「退職一時金制度」と「退職年金制度」があります。
厚生労働省の「平成30年(2018年)就労条件総合調査 結果の概況」によると、この制度がある企業の割合は80.5%。つまり、「ない」企業は19.5%となっています。
そこで、退職給付制度が「ない」企業の割合を、産業別にみていきましょう。
【産業別】退職給付制度が「ない」割合
- 宿泊業,飲食サービス業・・・40.3%
- 生活関連サービス業,娯楽業・・・34.7%
- サービス業(他に分類されないもの)・・・31.4%
- 運輸業,郵便業・・・28.7%
- 卸売業,小売業・・・21.9%
- 不動産業,物品賃貸業・・・18.5%
- 情報通信業・・・13.9%
- 教育,学習支援業・・・13.5%
- 学術研究,専門・技術サービス業・・・13.2%
- 医療,福祉・・・12.7%
- 建設業・・・12.5%
- 製造業・・・11.6%
- 金融業,保険業・・・11.4%
- 電気・ガス・熱供給・水道業・・・7.8%
- 鉱業,採石業,砂利採取業・・・7.7%
- 複合サービス事業・・・3.9%
調査結果によると、退職給付金制度が「ない」割合が最も高いのは「宿泊業・飲食サービス業」で4割を超えています。ついで「生活関連サービス業,娯楽業」「サービス業(他に分類されないもの)」となっています。
さらに企業規模によっても退職給付制度の有無に差があるようです。