2019年に金融庁のレポートで話題となった「老後2000万円問題」。

これをきっかけに、老後資金として「2000万円」を貯蓄目標の目安とされた方もいらっしゃるかと思います。

この2000万円という金額は、現役世代の標準的な世帯からみたら「一朝一夕で貯まる金額ではない」という場合がほとんどでしょう。

60歳以上で、この「2000万円」という金額を持っている世帯はどのくらい存在するのでしょうか。

ときに「お金持ちが多い」というイメージを持たれる日本のシルバー世代。

今回は60歳以上、特に「無職世帯」の貯蓄事情にフォーカスしていきます。

「60歳以上・高齢者世帯」の貯蓄事情

さいしょに、二人以上の世帯のうち「世帯主が60歳以上」の高齢世帯について、貯蓄額の分布を見ていきます。

  • 100万円未満・・・8.5%
  • 100万~200万円・・・3.9%
  • 200万~300万円・・・3.4%
  • 300万~400万円・・・3.7%
  • 400万~500万円・・・3.2%
  • 500万~600万円・・・4.1%
  • 600万~700万円・・・3.5%
  • 700万~800万円・・・2.8%
  • 800万~900万円・・・3.1%
  • 900万~1000万円・・・2.3%
  • 1000万~1200万円・・・6.0%
  • 1200万~1400万円・・・4.8%
  • 1400万~1600万円・・・4.0%⇐中央値(1506万円)
  • 1600万~1800万円・・・3.8%
  • 1800万~2000万円・・・3.3%
  • 2000万~2500万円・・・7.5%⇐平均値(2285万円)
  • 2500万~3000万円・・・6.2%
  • 3000万~4000万円・・・8.5%
  • 4000万円以上・・・17.3%

なお、貯蓄保有世帯の中央値は1506万円、平均値は2285万円です。

「中央値」と「平均値」

 貯蓄保有世帯の「中央値」とは,貯蓄「ゼロ」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに,ちょうど真ん中に位置する世帯の貯蓄現在高のこと。

「平均値」は一部のお金持ち層によって引っ張り上げられますので、「中央値」のほうがより実態に近い値となります。

この分布をみると、60歳以上の高齢者世帯の約4割(39.6%)が、貯蓄を2000万円以上持っていることが分かります。

ただし、その一方で貯蓄が100万円未満の世帯が1割弱(8.5%)存在する、いわゆる「二極化」の状態については、着目していくべき点であるといえるでしょう。

次では、「60歳以上・無職世帯」の貯蓄事情にフォーカスしていきます。