悲観論を商売に使うインセンティブも

「将来は年金がもらえないから、投資で稼がないと」と言いながら投資商品を売りつけようとする事業者がいるかもしれません。

「災害が心配だ」と言って防災用品を売りつけようとする事業者がいるかもしれません。

「悲惨な目に遭った人」の話ばかり並べた上で、保険への加入を勧める事業者がいるかもしれません。

こうした事業者の口車に乗って様々なものを買わされるのは問題ですが、そうでなくても「世の中は心配なことばかりだ」と感じてしまうようであれば、それも問題でしょう。

さて、本稿の最後に質問です。政府の年金運用は儲かっているのでしょうか。損をした時には大きく報道され、儲かった時には小さく報道されるので、政府は年金の運用で損していると考えている人も多いようですが、株価がこれだけ上がっているのですから、儲かっているに決まっていますね。

政府が年金運用で損をしていると考えていた人は、それ以外の点についても悲観バイアスに気をつけてくださいね。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事リスト>>

塚崎 公義