2025年7月2日、ハウスコム株式会社は「2025年度“部屋選び”に関する調査」の結果を公表しました。

引っ越しの際に重視する項目の第1位は、今年度も変わらず「家賃」でした。

一方で、「最寄り駅の路線や交通アクセス」「最寄り駅までの距離」など、通勤・通学の利便性を重視する人は減少傾向にあり、代わりに「広さ/間取り」を重視する人が増えていることが明らかになりました。

特に、「引っ越しの際に最も重視する項目」として、「家賃」に次いで新たに「広さ/間取り」が2位にランクインしており、住まいに対する価値観の変化が見受けられます。

さらに、引っ越しをした(これから引っ越しをする予定の方は引っ越しする際に希望する)部屋の家賃の中央値は6万9480円と、昨年度の6万4000円から5000円以上上昇しており、「広さ/間取り」重視の傾向が家賃にも影響を与えていると考えられます。

引っ越しをした部屋の家賃

引っ越しをした部屋の家賃

出所:PRTIMES「賃貸住宅では「家賃の安さ」よりも「広さ/間取り」を重視する人の割合が顕著に増加 ハウスコム株式会社が「2025年度“部屋選び”に関する調査」を実施」

 

 

このように、2025年度は「広さや快適さ」を求める暮らし方へと、ニーズがシフトしていることがうかがえる結果となりました。

おひとりさま世帯の増加やリモートワークの普及が進む中で、ライフスタイルに合わせて柔軟に住まいを変えられる賃貸住宅の人気は高まっています。

しかし、もし「老後も賃貸住宅に住み続けたい」と考えているのであれば、経済的な準備が必要不可欠でしょう。

この記事では、日本における借家の家賃の推移や、高齢世帯の住まい事情について詳しく解説していきます。

1. 借家の平均家賃は5万9656円。2018年から7.1%上昇

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」によると、借家(専用住宅)の1カ月あたりの平均家賃は5万9656円で、2018年から7.1%上昇しています。

借家(専用住宅)の種類別家賃の推移-全国(2003年~2023年)2/5

借家(専用住宅)の種類別家賃の推移-全国(2003年~2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

これを種類別にみると、公営の借家が2万4961円(7.6%増)、都市再生機構(UR)・公社の借家が7万1831円(2.8%増)、民営借家(木造)が5万4409円(4.5%増)、民営借家(非木造)が6万8548円(7.0%増)、給与住宅が3万7993円(11.6%増)となっており、すべてのタイプで家賃が増加しています。

また、借家(専用住宅)の1畳当たり家賃は3403円となっており、もっとも高いのは民営借家(非木造)の4151円です。

次いで、都市再生機構(UR)・公社の借家が3633円、民営借家(木造)が2916円、給与住宅が2071円、公営の借家が1246円となっています。

借家の家賃が増加傾向にあるなか、高齢者世帯における借家の割合はどれくらいなのでしょうか。次章で見てみましょう。

2. 高齢者世帯の8割超が持ち家。一方「単身世帯」に絞ると借家の割合が増加

同調査から、65歳以上の世帯員がいる主世帯(以下「高齢者のいる世帯」)の推移を見ると、2013年には2000万世帯を超え、2023年には2375万世帯に達しました。主世帯全体に占める割合は42.7%となり、2018年と比較しても増加傾向が続いています。

高齢者のいる世帯数及び割合の推移-全国(1993年~2023年)3/5

高齢者のいる世帯数及び割合の推移-全国(1993年~2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

住宅の所有関係をみると、「高齢者のいる世帯」全体では持ち家が81.6%と高く、借家は18.2%にとどまっています。これは、主世帯全体の持ち家率(60.9%)と比べても、かなり高い水準です。

世帯の型、住宅の所有の関係別割合(高齢者のいる世帯)-全国(2023年)4/5

世帯の型、住宅の所有の関係別割合(高齢者のいる世帯)-全国(2023年)

出所:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

しかし、「高齢単身世帯」では借家に住んでいる人の割合が32.2%にのぼっており、高齢者のいる世帯全体と比較して賃貸住まいであるケースが多いという傾向が明らかになっています。

家賃は物価や需要の変化により将来的に上昇する可能性があり、年金だけで生活を賄うには心もとないケースも想定されます。

特に賃貸で老後を過ごす予定の人や、「おひとりさま」の生活を考えている人は、将来的な家賃負担も見越して、今からしっかりとした資産形成を進めておくことが重要です。

3. 【参考】70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額どれくらい?

参考までに、70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額の割合を、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」から確認していきましょう。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)5/5

70歳代・単身世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

70歳代・おひとりさま世帯における貯蓄額の割合は、以下のとおりです。

3.1 「70歳代・単身世帯」の貯蓄割合

  • 金融資産非保有:27.0%
  • 100万円未満:5.1%
  • 100~200万円未満:5.7%
  • 200~300万円未満:4.9%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.2%
  • 500~700万円未満:7.3%
  • 700~1000万円未満:5.9%
  • 1000~1500万円未満:8.9%
  • 1500~2000万円未満:4.7%
  • 2000~3000万円未満:6.1%
  • 3000万円以上:15.9%
  • 無回答:2.4%

70歳代のおひとりさま世帯で「金融資産非保有=貯蓄ゼロ」の割合は全体の27.0%にのぼります。

一方で、貯蓄が1500万円以上ある世帯も26.7%と、ほとんど同じ割合となっています。

70歳代・おひとりさま世帯の貯蓄額の平均値と中央値も見てみましょう。

3.2 「70歳代・おひとりさま世帯」の貯蓄額(平均・中央値)

  • 平均値:1634万円
  • 中央値:475万円

平均値と中央値の乖離が大きいことから、資産がある人とそうでない人の二極化の傾向が見られます。

上記の結果からも、多くの資産を蓄えている人はそう多くありません。

そのため、できるだけ早い段階から老後に向けた資産形成を進めることが重要だと言えそうです。

4. 家賃の負担に備えた資金計画を

今回は日本における借家の家賃の推移や、高齢者世帯の住まいについて見てきました。

高齢単身世帯における借家率は32.2%となっており、老後も賃貸住宅で暮らす高齢者が一定数存在することが明らかになっています。

一方で、借家の平均家賃は5万9656円と、2018年から7.1%上昇しています。

老後の暮らしに不安を残さないためには、家賃の負担に備えた資金計画や、長期的な資産形成が求められるでしょう。

まずはご自身の老後に必要な費用を試算して、無理のない範囲でコツコツ貯蓄習慣をつけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

中本 智恵