住宅ローン破綻、金融機関が容赦なくなるのはどんなときか

ローン残高と評価額を把握する必要性

また、こうした“事件扱い”には至っていないものの、長期間の滞納や将来の返済困難に陥った事例など、いわゆる“破綻予備軍”は前述した破綻件数の3倍程度あると見られています。つまり、既に破綻済みの分を除いても、約10兆円がいつ焦げ付いても不思議ではないということです。

ちなみに、住宅に次ぐ高級消費耐久財である自動車の場合、前述した“事件扱い”と同じレベルの自動車ローン破綻比率、つまり、返済不能でクルマを強制差し押さえされるレベルは0.3~0.5%程度と見られます。金額やローン期間が異なるので一概に単純比較はできませんが、住宅ローンの破綻率の高さが理解できましょう。

厳格な事前審査があるのに住宅ローン破綻は起きる

そもそも、住宅ローンを組む際(金融機関から見ると貸し付けの際)、厳格な審査が行われているはずです。確かに、一昨年に大きな社会問題となったスルガ銀行の不正な過剰融資事件など、個人向け融資を伸ばそうとする金融機関は増えてきました。

それでも、低所得層など返済が滞る懸念がある人に、最初から住宅ローンの融資する可能性は低いはずです。本来ならば、3%とか4%の破綻比率は考え難いのです。しかしながら、現実には住宅ローンの返済に困窮する債務者は後を絶ちません。

その要因として、住宅ローンを組んだ後に、外的要因(自営業者の会社経営不振、投資運用失敗、ギャンブル等の浪費)、健康問題(病気、ケガによる収入減)、職場問題(リストラ、転職の失敗、退職金の減額)、家庭問題(離婚、介護、年金減額)などによって、借入債務者の財政状況が大きく悪化することが挙げられます。

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執筆者

国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。