3月。柔らかい春の日差しが、コロナ禍の鬱々とした気持ちを少しだけ和らげてくれます。

春は別れの季節。長いお勤め生活を終え、3月末で定年退職される方もいらっしゃるでしょう。

今年は感染症対策の観点から、送別会などの行事を縮小したり取りやめたりする職場も多いかと思います。少しさびしい気もしますね。

さて、かつて昭和の時代には一時期「55歳で定年退職」なんてケースが多かったのですが、イマドキは還暦を過ぎてもまだまだ現役で活躍されていらっしゃる方が多く、心強い限りです。

2021年4月、もうすぐ「改正高年齢者雇用安定法」がスタートします。これによって「高齢者の就業機会の確保及び就業の促進」が行なわれ、70歳までの雇用が各企業に努力義務として課されることになるのです。

そこで、今日はそのさらに上をいく、「70代以上の働き続けるシニア世帯」の貯蓄にフォーカスしていきます。

「働き続けるくシニア世代」を支援

さて、冒頭で触れたように、高齢者の就業を促進するための「改正高年齢者雇用安定法」が2021年4月に施行されます。

厚生労働省の資料より、その改正のポイントをご紹介しましょう。

改正高年齢者雇用安定法

65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)

  1. 70歳までの定年引き上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

参考:厚生労働省「高年齢者雇用安定法 改正の概要

ご覧の通り、企業は「必ず70歳まで雇用しなければならない」というものではありません。あくまでも「努力義務」として課されるものですが、この法改正をきっかけに、はたらき続けるシルバー世代は今後より一層増えていくことが考えられそうですね。

次では、高齢者世帯の貯蓄事情を、無職世帯・有職世帯に分けて見ていきたいと思います。