新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に伴う、不要不急の外出自粛が奨励され、ステイホームが呼びかけられています。

COVID-19の感染による病状と、その副作用についての恐ろしさが取り沙汰されていますが、個人的には「コロナ自粛の副作用」にも注意を向ける必要性を感じます。なぜなら、コロナ自粛の副作用は、COVID-19に感染していない人にも影響があるからです。

肥満や健康が脅かされている

COVID-19によるステイホームによって、世界的に運動不足が問題化しています。

米・ウォール・ストリート・ジャーナル紙が2月14日に公開した記事「Remote Learning During Covid-19 Is Causing Children to Gain Weight, Doctors Warn(医者が警告!コロナ禍におけるオンライン学習で子供の体重が増加している)」によると、オンライン学習に移行した子供たちの肥満を取り上げています。

‘We’re seeing a lot of elementary school-aged kids who are gaining 20 to 30 pounds in a year,” said Hai Cao, a pediatrician and owner of South Slope Pediatrics in Brooklyn, N.Y.’
(「一年間で20~30ポンド(9~13.6kgほど)体重が増加した小学生の子供をたくさん見てきた」、ブルックリン、ニューヨーク州にあるサウス スロープ小児科のオーナーであり小児科医のHai Cao氏は述べた)"

小学生の年代の子供の体重で10kg前後も増えるのは、かなりのインパクトがあります。40kgの子供が10kg増量する場合は、25%もの大幅増を意味します。

遊び盛りの子供に限らず、青年期、中高年期も積極的に外出や運動ができないというのは同様の状況です。これはCOVID-19の感染有無に関係なく起こる問題ですから、「コロナ自粛の副作用」の一つといえます。

5年後、要介護老人が大量に生まれる

運動不足がもたらす肥満の問題については、後述する宅トレで運動をすることで回復することが可能です。しかし、真に恐ろしいのはCOVID-19の驚異が立ち去った後も、回復が望めない「不治の問題」があることです。

プレジデントオンラインに掲載された記事の中で、精神科医の和田秀樹氏は「5年後、要介護者が増加する」と警鐘を鳴らしています。同氏によると、運動不足によって高齢者の筋力低下、認知力低下を引き起こす可能性が高いといいます。若者と高齢者との最大の違いは「廃用症候群」と言われており、端的にいえば高齢者は使わなくなった体の機能の衰えが著しいというのです。

若者なら、スキーで足を折る事故を起こしても、骨がつながればまたすぐ歩けるようになります。その一方で、高齢者の場合はあっという間に歩けなくなり、リハビリを要するまで機能が落ち込んでしまうというのです。

要介護者が増加すると、国家の財政を直撃します。COVID-19による自粛がなければ問題がなかった健康体の高齢者も、自粛が長引くことで要介護者入りになれば社会問題は大きくなります。