60代が「貯金2000万円」で安心できない理由

さらに注意が必要なのは、この「老後2000万円」の中には、含まれていない費用がある点です。

下記は、前項のモデルケース世帯の支出の内訳です。主なもののみ、下記に記載します。

  • 食費:6万4444円
  • 住居:1万3656円
  • 光熱・水道:1万9267円
  • 交通・通信:2万7576円
  • 教育・娯楽:2万5077円
  • 保険医療:1万5512円
  • 非消費支出:2万8240円

ここで注目していただきたいポイントが、まず「住居費」。

住居費は世帯によってかなり差がある項目といえるでしょう。この金額は「持ち家」だった場合を想定して算出されています。高齢者の夫婦のみ世帯は圧倒的に持家派が多く、毎月の「家賃負担」が少ない世帯が多いので、この金額となっているわけですね。

我が家はずっと賃貸派、というライフスタイルであれば、住居費用をしっかり準備しておく必要があるでしょう。

仮に5万円の賃貸物件に住む場合、30年間の賃料と更新料、引っ越し代などで、約2000万円は必要となるでしょう。また、賃料の上昇リスクなども考慮しておく必要があります。

また、介護費用も2000万円の中に含まれていません。

現在では、「おひとりさま世帯」や「核家族」が増えました。いわゆる、サザエさんやちびまる子ちゃんの家庭のように、3世代が一緒に暮らすケースは減っています。

これからシルバー世代を迎える私たちは、身の回りのことが自分でこなせなくなったときや、介護が必要になったときを見据えた準備が必要であるといえるでしょう。