老後生活を支えてくれる、大事な収入源ともいえる「年金」。しかし、少ない年金でなんとか生活費をやりくりせざるを得ないケースも珍しくありません。
「低年金」や「無年金」という言葉をしばしば耳にしますが、実際のところどのぐらいの金額のことを指すのでしょうか。また、低年金・無年金となりそうなことが分かった場合、救済措置などはあるのでしょうか。
今回は、年金をめぐる現状をもとに、低年金に該当するケースや、その救済策などについて扱います。
まずは年金の基本から
日本の年金は、以下のような「2階建て」の仕組みになっています。
1階部分…国民年金。日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある。
2階部分…厚生年金。公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入する。
そして、厚生年金は以下のように区分されています。
- 第1号厚生年金被保険者…厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される者
- 第2号厚生年金被保険者…旧共済年金の加入者(国家公務員共済)
- 第3号厚生年金被保険者…地方公務員共済
- 第4号厚生年金被保険者…私立学校共済
参考:企業年金連合会「第一号厚生年金被保険者」
「老齢基礎年金」の受給条件
さらに、1階部分の「老齢基礎年金」には、「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上」という受給条件があります。また、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たなくても、「合算対象期間(※)」を加えて10年以上になる場合、受給が可能となります。
※「合算対象期間」とは
「昭和61年(1986年)4月1日以降の期間」「昭和36年(1961年)4月1日から昭和61年3月31日までの期間」「昭和36年(1961年)3月31日以前の期間」それぞれにおいて、指定の条件に当てはまっていた場合。→条件の詳細は日本年金機構ホームページ「合算対象期間」をご参照ください。
無年金・低年金予備軍への救済策とは?
前述の資格期間を満たしていないと、老後に年金を受け取ることができません。いわゆる「無年金」の状態です。
ただし、年金をもらえる年齢を目前にして「資格期間が足りない」もしくは「未納期間がある」「年金保険料の免除や支払猶予をうけた」などの理由で、無年金・年金減額となる要因があった場合でも、救済措置は用意されています。
その制度が、未納の年金保険料を後払いする「追納」というもの。追納をしたい場合は、最寄りの年金事務所に申し込み、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。
もし経済的な事情で保険料の納付が難しい場合は、保険料の支払いが「免除・猶予」になる制度を利用しましょう。