漫画家の祭さんは、おみくじちゃんとあみだちゃんというチンチラの母子、元保護チンチラの福くん、デグーの棟梁ちゃんというネズミさんたちと一緒に生活しています。寒空の中、捨てられ保護されたチンチラの福くんを急遽引き取ることになって早1か月。今では警戒心が解けてきたのか、だいぶ穏やかな顔つきになってきて、ひとまず安心といったところ。

そんな福くんですが、引き取るにあたり、祭さんが少し不安に思っていたことがありました。それは福くんの「素質」。

これまでの経緯を考えると、人間に対する多少の警戒心は仕方がありません。しかし、福くんたちが捨てられていた理由が「手に負えないほどに気性が激しい」だった場合、噛みつくなどの攻撃的な態度も考えられますし、そうなると「ちょっと苦労するかもなあ。」と思ったのです。

が、いざ福くんをお迎えしてみると…?

野生動物の本能は何処へやら、なぜかホイールの上で、全身を預けたまま爆睡する福くん。しかも不安定なのか、だんだんとずり落ちてきて、よく聞けば寝言まで…。その姿は、まさに終電でよく見る酔っ払いそのもの。

起きている間も、手に噛みついたりということもなく、とても穏やかな性格の福くん。実に開放的な寝姿を見ながら、祭さんは、安心すると同時に「なんだ、心配して損した。」と、ちょっと気が抜けてしまうのでした。