次に地方公務員の退職金を総務省の「令和2年給与・定員等の調査結果等」より、都道府県、指定都市、市区町村それぞれの行政単位において「60歳定年退職者の平均支給額」を単純平均したものを見てみましょう。

都道府県(47団体)

  • 2211万2000円

指定都市(20団体)

  • 2163万円

市区町村(指定都市を除く1721団体)

  • 1802万6000円

地方公務員では、都道府県・指定都市と市区町村に勤務の公務員とでは少し差がありますが、それでも概ね2000万円前後はもらえるということが言えそうです。

この結果を見ても、公務員は安定しているということが言えるのではないでしょうか。

公務員の老後は退職金のみで大丈夫か

退職金が2000万円前後もらえる公務員ですが、退職後の老後生活は安泰なのでしょうか。

老後の必要資金を考える上で記憶に新しいのは「老後2000万円問題」です。

年金収入の他に、この退職金2000万円があれば、公務員は老後に向けて生活費の準備をする必要はないと言えますね。

では、本当に老後は2000万で十分なのでしょうか。

金融審議会 「市場ワーキング・グループ」(第21回)の厚生労働省提出資料をもとに「老後2000万円問題」の内訳を確認してみましょう。

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上夫婦のみ)

  • 毎月の収入(主に年金):20万9198円
  • 毎月の支出(主に食費):26万3718円

月々の収支

  • 20万9198円-26万3718円=約5.5万円の赤字

老後30年と仮定した場合の不足額

  • 5.5万円×12ヵ月×30年=1980万円(約2000万円)

「老後に2000万円が不足する」という理屈は、この計算式が根拠となっています。

しかし、この月々の支出には、十分に考慮されていない項目があります。

  • 月々の住居費用
  • 介護費用

住居費用から考えてみましょう。住居費用は計上されているものの、その額は1万4000円しか計上されていません。

ライフスタイルが多様化し、賃貸で一生を過ごす人も多くなりました。そうなると、1万4000円の住居費用では到底まかなうことはできません。

集合住宅が持ち家の場合、月々の管理費・修繕積立金が1万4000円に収まる家庭も少ないのではないでしょうか。

つまり、住居に係る費用が1万4000円に収まることはあまりなく、実際に住居にかかる費用を別途準備する必要があるのです。

2つ目が介護費用についてです。

老後はケガや病気によって、介護が必要になる可能性が高くなります。

介護状態になった場合、老人ホームへの入居費用も相当の額を準備しないといけません。

LIFULL介護の「老人ホームの費用相場」より、費用を確認してみましょう。

有料老人ホーム

  • 入居時費用・・・540万円
  • 月額費用・・・22.5万円

サービス付き高齢者向け住宅

  • 入居時費用・・・20万円
  • 月額費用・・・16.5万円

介護費用を準備するならば、1000万円以上の備えが別であった方がよさそうですね。2000万円のみで安心とは言えないようです。

個々のライフスタイルにも因りますが、住居費用、介護費用が必要な人だと、1000万円、2000万円の追加の準備が必要になりそうですね。