大学生の就職したい職業ランキングで毎年上位にランクインするのが公務員です。
安定した職業だけに毎年不動の人気ぶりです。
景気に左右されない安定したイメージのある公務員ですが、退職金はいくらもらえるのでしょうか。
私はこれまで10年以上、お客様の資産運用に関わってきました。そこで今回は、公務員の退職金について見ていきたいと思います。
公務員の退職金、平均支給額はいくらか
まずは、内閣官房内閣人事局公表の資料「退職手当の支給状況(令和元年分)」をもとに、国家公務員の退職手当平均支給額を職種別に見てみましょう。
常勤職員
- 定年:2090万6000円
- 応募認定:2588万1000円
- 自己都合:316万1000円
- その他:201万6000円
うち行政職俸給表(-)適用者
- 定年:2140万8000円
- 応募認定:2278万円
- 自己都合:362万7000円
- その他:265万8000円
自己都合とその他という特殊な退職事由を除けば、国家公務員は退職金として2000万円以上を支給されていると言えそうです。
次に地方公務員の退職金を総務省の「令和2年給与・定員等の調査結果等」より、都道府県、指定都市、市区町村それぞれの行政単位において「60歳定年退職者の平均支給額」を単純平均したものを見てみましょう。
都道府県(47団体)
- 2211万2000円
指定都市(20団体)
- 2163万円
市区町村(指定都市を除く1721団体)
- 1802万6000円
地方公務員では、都道府県・指定都市と市区町村に勤務の公務員とでは少し差がありますが、それでも概ね2000万円前後はもらえるということが言えそうです。
この結果を見ても、公務員は安定しているということが言えるのではないでしょうか。
公務員の老後は退職金のみで大丈夫か
退職金が2000万円前後もらえる公務員ですが、退職後の老後生活は安泰なのでしょうか。
老後の必要資金を考える上で記憶に新しいのは「老後2000万円問題」です。
年金収入の他に、この退職金2000万円があれば、公務員は老後に向けて生活費の準備をする必要はないと言えますね。
では、本当に老後は2000万で十分なのでしょうか。
金融審議会 「市場ワーキング・グループ」(第21回)の厚生労働省提出資料をもとに「老後2000万円問題」の内訳を確認してみましょう。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上夫婦のみ)
- 毎月の収入(主に年金):20万9198円
- 毎月の支出(主に食費):26万3718円
月々の収支
- 20万9198円-26万3718円=約5.5万円の赤字
老後30年と仮定した場合の不足額
- 5.5万円×12ヵ月×30年=1980万円(約2000万円)
「老後に2000万円が不足する」という理屈は、この計算式が根拠となっています。
しかし、この月々の支出には、十分に考慮されていない項目があります。
- 月々の住居費用
- 介護費用
住居費用から考えてみましょう。住居費用は計上されているものの、その額は1万4000円しか計上されていません。
ライフスタイルが多様化し、賃貸で一生を過ごす人も多くなりました。そうなると、1万4000円の住居費用では到底まかなうことはできません。
集合住宅が持ち家の場合、月々の管理費・修繕積立金が1万4000円に収まる家庭も少ないのではないでしょうか。
つまり、住居に係る費用が1万4000円に収まることはあまりなく、実際に住居にかかる費用を別途準備する必要があるのです。
2つ目が介護費用についてです。
老後はケガや病気によって、介護が必要になる可能性が高くなります。
介護状態になった場合、老人ホームへの入居費用も相当の額を準備しないといけません。
LIFULL介護の「老人ホームの費用相場」より、費用を確認してみましょう。
有料老人ホーム
- 入居時費用・・・540万円
- 月額費用・・・22.5万円
サービス付き高齢者向け住宅
- 入居時費用・・・20万円
- 月額費用・・・16.5万円
介護費用を準備するならば、1000万円以上の備えが別であった方がよさそうですね。2000万円のみで安心とは言えないようです。
個々のライフスタイルにも因りますが、住居費用、介護費用が必要な人だと、1000万円、2000万円の追加の準備が必要になりそうですね。
安心して暮らす方法と対策とは
ここまで見てきて、公務員も退職金だけで老後の生活費を賄うのは難しいということが分かってきました。
では、老後を安心して暮らすためにはどんな方法があり、どのように対策をしたら良いのでしょうか。
自分で働いて得られる毎月の給与や退職金も大事ですが、お金を働かせることで資産を増やす方法を考えてみましょう。
つまり、人的資本と金融資本で老後の資金を作るということです。自分ひとりで頑張るより、はるかに早く、楽にゴールにたどり着くことが出来るはずです。
健康に注意してできる限り長く働き、あとはいかにお金に働いてもらうか、どのように運用をするかが大事なポイントです。
以前に比べると運用は取り組みやすくなっています。ネット証券の普及もその1つです。誰でも気軽に投資を始めることができる様になりました。
国が整えた税制優遇制度を活用するのもよいでしょう。つみたてニーサやイデコがそれに該当します。
投資や運用と聞くとあまり良いイメージを持たれていない方もいらっしゃるかと思います。
しかし、米国や欧州では、運用や投資は老後資金を作るスタンダードな方法です。
実際、日本の家計に占める株・投資信託の割合は約12%ですが、アメリカでは約45%に上ります。日本の約4倍です。
これを機会に、まだ投資をされていない方はぜひ投資について考えてみることをおすすめします。
まとめにかえて
安定していると言われる公務員の方も、老後のリスクを考えると退職金だけで大丈夫とは言えないようです。
しかし、投資をすることで、安心の老後は意外と簡単に手にすることができるかもしれません。
投資にはリスクがつきものですが、リスクを軽減させる方法はあります。
資産運用や資産形成のプロのアドバイザーに相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 内閣官房「退職手当の支給状況(令和元年分)」
- 総務省「令和2年給与・定員等の調査結果等」
- LIFULL介護「老人ホームの費用相場」
- 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- 谷口裕梨「公務員の退職金は3000万円超え?実際にどれくらいいるの?」(LIMO)
- 三輪文「公務員の退職金。2000万円以上もらっている人は何割か」(LIMO)
- マネイロ「資産運用はじめてガイド」
佐藤 雄基
