電気自動車が移動以外の用途に

他にはフォード社が2020年に発売した新型ピックアップトラック「2021 F-150(ハイブリッド型)」が「Lifesaver(人命救助)だった」といういう人もいます(※3)。車から電気を引いてスペースヒーターやルームライトなど、家電を約3日間使えたということです。

「2021 F-150(ハイブリッド型)」には“Pro Power Onboard”という発電機が搭載されています。2.4kWの電気出力が標準ですが、オプションで7.2kWの出力にすることもできるようです。

テスラの“Camp Mode”やフォードの“Pro Power Onboard”のように、移動や環境保護ということだけではなく、いかに電気自動車が多目的に利用できるかという開発がトレンドとなっているようです。もちろん今回のように災害時の停電にも活躍できるということからも、電気自動車の人気はアメリカで今後高まりそうです。

電気自動車、ここにも格差問題が?

しかし、いくらテスラやフォードのようなハイテク自動車が開発されても、すべての人がその恩恵を受けられるわけではありません。テスラ車も、フォード「2021 F-150(ハイブリッド型)」も500万円以上。“Powerwall”については機体だけで約100万円です。結局は、低収入層は取り残されてしまうのです。

テキサス州コロラドシティのティム・ボイド市長は16日、フェイスブックに「自治体があなたやあなたの家族を守る責任はない」「強い者だけが生き残り弱者は滅びる」などと投稿し大炎上となり、結局辞任しました(※4)

彼はアメリカの格差構造が作られる根底の思想をはっきり言葉に表しました。現実的には彼が言ったことは暗黙でも、このような災害時には明らかになってしまうのです。

また、2016年テキサスから大統領共和党予備選に出馬した共和党上院議員テッド・クルーズ氏は、寒波と停電が続く中17日間、暖かいメキシコのリゾート地カンクンに家族旅行に出かけ、こちらも大ひんしゅくを買いました。しかし多くの富裕層は同じような事をしているのです。

話は逸れてしまいましたが、今回のテキサス州の停電でテスラの売り上げが上がるだろうと考える人もいるようです。また2020年9月の”Battery Day”において、電気自動車用の車載電池を開発し2万5,000ドル(約260万円)の電気自動車の実現を目標に掲げています。

しかしテスラが2月8日、15億ドル(約1,600億円)のビットコイン投資を発表して以来、テスラの株価は23日時点でも下がり続けています。一方でビットコイン価格は急上昇。しかし23日には一時4万7,000ドルほど(約490万円)に急落しました。

ビットコインの不安定さを懸念する投資会社や個人投資家はステラ株を売り、ビットコインを利用した新たな経済構造に期待する人々はビットコインを購入。または、テスラファンはビットコインで将来ステラ製品を購入出来ることを期待して、テスラ株を売りビットコインを買ったのかもしれません。ともかく、何が吉とでるか、テスラとビットコインの関係に今後注目していきたいです。

参考資料

(※1)Twitter(Elon Musk @elonmusk)
(※2)TESLA“Powerwall”
(※3)NBC News Digital “Some Texans power up through storm with help from their Ford pickup, Tesla”
(※4)Twitter(ET Breaking News @breaking_et)“Mayor of Colorado City, Texas RESIGNS after posting this controversial Facebook post.”

美紀 ブライト