住まいにかかるお金

まずは住まいにかかるお金から見ていきましょう。

先述の消費支出23万9,934円には「住居費用」1万4,000円が含まれています。逆に、1万4,000円「しか」含まれていない、と表現したほうがよいかもしれませんね。

住居費用は老後の支出に大きな影響を与える項目であると考えられますが、1万4,000円はかなり低い、という感想を持たれた方もいらっしゃると思います。筆者もその一人です。

高齢者世帯は持ち家世帯比率が高く、持ち家派の場合は、月々の家賃の支払いが不要となりますので、平均額が低く算出されていることなどが背景にありそうです。

とはいえ、賃貸派の方でお家賃が1万4,000円というケースは極めてまれであると思われます。よって、リタイヤ後も賃貸住宅で暮らすことを検討されている場合は、老後の住居費用をしっかり準備しておく必要があります。

では、ここで「現在60歳の方が、このまま賃貸で生活する場合」を想定していきます。
(※ここでは60歳男性の平均余命で計算します。)

  • 家賃が6万円の場合・・・6万円×12カ月×24年=1,728万円
  • 家賃が8万円の場合・・・8万円×12カ月×24年=2,304万円

いずれの場合も、トータルで2,000万円前後となりますね。よって、持ち家を持たない賃貸派の人は「住居費用」として上記の額を目標に資金を準備しておく必要があるわけです。

この金額を見ると、賃貸派より持家派のほうが賢明な選択のようにも思えますが、家族構成や転勤の有無など、ライフスタイルによっても判断が分かれる部分ともいえます。

また、マイホーム購入を視野に入れていらっしゃるならば、高齢で住宅ローンを組む場合にはさまざまな制約が生じますので、早めに計画を立てておかれることをオススメします。

というのも、住宅ローンを利用せず、一括で購入する場合は、購入時までにまとまったお金が必要となるからです。