2021年2月18日に行われた、日本工営株式会社2021年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:日本工営株式会社 代表取締役社長 有元龍一 氏

2021年6月期 第2四半期実績

有元龍一氏(以下、有元):有元でございます。お忙しい中、また新型コロナウイルスでの制約が厳しい中、日本工営の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。

最初に、当社の第1四半期決算発表が1ヶ月ほど遅れましたことについて、この場をお借りしてお詫び申し上げます。みなさまには大変ご心配をおかけしました。

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本日の決算説明では、今お伝えした決算遅延の原因になりました、電力エンジニアリングのその後の対応状況、また年度当初から対策を加えてきました新型コロナウイルスの対策状況についても説明しますので、よろしくお願いいたします。

まず、第2四半期の決算について概況をご説明します。こちらが今回の決算実績です。受注高517億9,600万円、売上高466億7,500万円、営業利益マイナス1,800万円、経常利益マイナス4億2,600万円、純利益マイナス24億6,100万円でした。

受注高については、前期に海外部門で大型案件がありましたので、その反動として減少しています。売上高と利益については、特に国内事業が非常に好調であり、これが牽引しています。その結果、利益は赤字幅を大きく減少させました。

また、純利益は赤字幅が拡大しましたが、これもすでに公表していますように、インドネシアで進めていました水力発電計画において約18億円の特別損失を計上した結果です。

新型コロナウイルス関連では、第2四半期の決算において、通期での影響額の見通しを立てました。その結果、新型コロナウイルスの影響は売上高で約90億円という試算が出ています。渡航制限はすでに解除されつつありますので、少しずつかもしれませんが、今後の海外は業績回復傾向にあると考えています。

欧州、とりわけイギリスでロックダウンが行われていますが、そのような中でもBDPグループは非常に堅調に業績を上げています。

PLサマリー/損益増減分析

次にPLサマリーです。この半年間の動きについて数字で追いかけていますが、ご覧のように売上の減少に起因して、利益も減少しています。

一方で、原価率は改善しました。先ほどお伝えしたとおり、コンサルタント国内事業の内製化が進んだ結果、原価率が非常に改善しています。

また、一般管理費は移動制限によるコスト抑制がありました。加えて、前期に赤字でした海外のグループ会社のコスト構造改革が功を奏し、このような結果になっています。

今期中の大きなものとしては、先ほどお伝えした特別損失18億円があります。以上のようなことから、この推移をたどっています。

貸借対照表

次に、貸借対照表です。特段、大きな課題はありませんが、あえて言うと、固定資産で減損の影響による減少があります。つまり、インドネシアの水力発電計画の減損がそのまま出ているということです。

また、固定負債で長期の借入等が増加していますが、これは年度当初にコロナウイルス影響での不確実性を見越し、手元の流動性資金を確保するためにこのような対処法を取った次第です。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについても、特にご説明は不要かと思いますが、営業キャッシュ・フローは前期に比べると非常に順調に回転しています。

セグメント別実績(受注高/売上高/営業利益)

ここはセグメント別の業績結果ですが、これは個別にこの後ご説明していきます。

コンサルタント国内事業

まず、国内事業ですが、冒頭にお伝えしたように非常に堅調です。現在、第3四半期に入りましても、受注および案件進捗は好調を維持している状況です。

ご案内のように、国土強靭化の推進により受注環境は非常に好調です。常に前期比10パーセント増の推移をたどっていますが、この第3四半期に入り、国の15ヶ月予算策定という背景もあり、さらに加速していく様子まで見えてきています。

収益性の改善については、技術者の要員体制の強化を図っています。その結果、内製化が進んだということがあると思います。後ほどもご説明しますが、国内と海外、そして中央研究所の3部門の統合によって、その効果もこのような成績に表れていると思います。

プロジェクト紹介(コンサルタント国内)

ここでは、技術的な面からの視点でのトピックスをご紹介します。

ご覧のスライドは、CIMのモデルを使いました地すべり対策業務の設計です。これは場所柄、非常に急峻できわめて狭小な場所ですので、実際に対策の工事が打てるかどうかをCIMを使いながら検証していきます。工事会社に対して施工契約に反映できるものとして取り組んでいます。また、施工にあたり、住民説明会等々でも非常にわかりやすく説明ができたという効果もありました。

ちなみに、当社のCIMの適用案件ですが、2020年6月期では年間約80件ありましたが、本年度は上期だけで60件であり、このような技術の適用が着実に増えていると実感しています。

プロジェクト紹介(コンサルタント国内 中央研究所)

もう1つは、AIを活用したダム操作支援です。2つの面でAIを活用しているのですが、1つはAIを使った洪水予測システムです。これは、過去のデータを使う従来型のモデルではなく、上流部と下流部の水位のデータを用いてAIの学習を高めていきます。その結果、急な豪雨災害でも予測可能なモデルとして評価できるものと思っています。

もう1つは、ダムの管理です。緊急災害の時、当然下流は洪水を防御しなければいけませんので、そのためのダムの管理を適時、適切に行わなければいけません。これに対するサポートとして技術を活用していきたいと考えています。一部ではすでに実装に向けて進めていますので、さらにブラッシュアップしていきたいと思っています。

コンサルタント海外事業

続いて、コンサルタント海外事業です。海外も受注面では前年と比較すると下がっていますが、ちょうど昨年で言うと、大型案件2件で約70億円のものがありました。それを差し引けば堅調に推移していると見ています。

また、売上と利益についてですが、やはり新型コロナウイルスの影響は稼働に対してかなり大きく影響を与えています。通年で見た場合、コンサルタント海外事業だけで約60億円の売上のインパクトを受けていると言ってよいと思います。

当然、このようなことは予測していましたので、年度当初から海外部門の収益を確保するため、「海外要員が国内事業を一部手助けしていこう」と考えました。また、円借款の場合も、新型コロナウイルス対策の一環として、いったん弊社社員は日本に引き上げるのですが、例えば、日本にいながらリモートで施工監理をマネジメントするといったことにも取り組んできました。

ご案内のように、JICAも昨年3月に渡航禁止となり、それ以降業務進捗は滞ったわけです。そのようなJICAの案件においても、本来海外で行う業務を国内の作業でなんとか回していくことに取り組んでいます。このようないろいろな合わせ技でもって、しっかりとした稼働と一定の利益が確保できたと考えています。

加えて、子会社のコスト構造改革も功を奏し、全体としての収益性が改善したと言ってよいと思います。

プロジェクト紹介(コンサルタント海外)①

プロジェクトについても、いろいろなお客さまがいらっしゃいますのでご紹介します。1件目は、環境省のグリーンリカバリー推進事業として受注しているものです。ミャンマーのヤンゴン市で廃棄物管理の効率化を行っています。ヤンゴン市と福岡市は姉妹都市であり、行政側のサポートも得て新しい技術を使って廃棄物管理を効率化しています。

結果的には、脱炭素に向けた改善も図っています。グルーヴノーツ社という、福岡市のスタートアップ企業があるのですが、ここは量子コンピューターを使ったAIの解析に非常に強いです。私どももヤンゴン市で交通計画や都市計画に取り組んでいますので、この2つの知見を合わせ、プロジェクトに取り組んでいます。

2件目は、インドネシアのマカッサル市の渋滞緩和実証事業です。これもスマートドライブ社と当社が組み、GPSの情報をもとにした人流あるいは物流のデータ分析と、そのデータをもとにした当社による解析によって、渋滞箇所の特定や改善のためのルート選定などをサービスにするものです。これは経産省の仕事ですが、これを通じてスマートシティ化への可能性についても検討していきます。

プロジェクト紹介(コンサルタント海外)②

3件目も、なかなかこのような説明会の場では紹介したことのないおもしろい仕事であると思っています。こちらはJICAの案件ですが、モンゴルの病院施設の運営管理です。もともと日本の援助で2019年に病院が建設されているのですが、「ここをモンゴル初の高度医療を推進していく病院に改善しよう」ということで、診療、教育、研究の3つのテーマについて、高度医療に対応ができる施設への改善に取り組んでいます。

これは、当社のグループ会社のKRC(コーエイリサーチ&コンサルティング)という会社と愛媛大学、徳島大学と提携して対処しています。

4件目は、パナマ共和国のメトロの延伸事業です。これは当社のグループ会社である中南米工営が、延伸事業の入札支援、詳細設計、施工管理、プロジェクト全体の管理を行っています。

プロジェクト紹介(コンサルタント海外)③

海外事業でもう1件ご紹介します。すでにプレスリリースでご案内しましたが、インドの貨物専用鉄道、DFCの1部区間が運転を開始しました。

コンサルタント国内・海外・技術連携

先ほどお伝えしましたが、昨年7月にコンサルタント国内、コンサルタント海外と中央研究所を統合し、将来を見た戦略的な連携運営を始めました。今回はそこで狙っている効果をご紹介します。

まず、今年顕著だったことは、この統合効果により、新型コロナウイルス影響で海外稼働がグッと押さえ込まれてしまったところに、国内が受注をがんばることにより、受注の業績に大きく貢献しているということです。また、技術員の強化による内製化、ひいては収益性改善の効果がありました。

一方、海外においては、渡航制限による稼働率低下への対応として、海外の要員が国内の事業を一部行うことにより収益を上げる経験ができました。また、海外の要員が国内の技術を取り入れて、海外顧客に新しい技術を提案するなどの機会となりました。

さらに、中央研究所では先端的な技術の開発を行っているのですが、研究所を中心に、国内・海外それぞれに対して技術情報を共有することにより、全体的に技術的な知見を高めていくという効果がありました。

先々は技術を中心にシームレスに展開していくと見ていますので、これによって機動的な人材の配置や先端技術の共有を同時に推薦し、国内・海外で共有できるようなハイブリッド人材の育成にもつながっていくと考えています。

電力エンジニアリング事業

続いて、電力エンジニアリング事業です。まず受注について言うと、大型案件の期ズレがありましたので、昨年同期と比べると若干減っています。一方、売上と利益は非常に苦戦しているというのが実情です。その要因の1つが水力発電関連での赤字です。つまり、原価率が上昇して収益性が落ちているということです。

一方、これも伝統的に我々が強い分野である変電システムおよび変電制御装置も手持ちが減り、売上が伸びませんでした。このようなことがあり、減収減益となっています。水力発電の生産体制の強化については、後ほどご説明します。

プロジェクト紹介(電力エンジニアリング)

今期中のトピックスとして2つご紹介します。1つは、変電所の遠方監視制御装置です。変電所向けの装置は従来長らく東京電力に納めていましたが、この度四国電力にも展開することができたというご紹介です。

東電からは非常にスペックの高い製品を求められているのですが、そこで磨いた技術を今度は四国電力の仕様に切り替えながら提供することにより、新しいお客さまを開拓したという事例です。

もう1つは、関西電力の蘭川発電所です。これはもともと数十年前に当社が納めたシステムの更新業務なのですが、お客さまの要望は非常に複雑で多岐にわたっており、それに対してきちんと応えられる、非常に評価の高い仕事として今回掲載しました。

電力エンジニアリング事業領域と水力発電動向

当社の水力発電の課題についてご説明する前に、当社の電力エンジニアリング事業の領域についてご案内します。これは電力の発電、送電、変電、配電、蓄電・電力利用の流れを示しています。

当社の主力としては、水力発電所の設備、変電所の設備やその製品、あるいは工事を担務してきました。今回の水車・発電機の赤字の問題は、この水力発電で起きたわけです。

この機会に補足すると、弊社は水力と変電の2つの軸で進んできましたが、当然、技術の変化、市場の変化に対応し、水力以外の発電、つまり再エネでの仕事に領域を広げています。さらに、最近努力しているのは、蓄電あるいはエネルギー全体のマネジメントです。

近年、水力発電はFIT(再生可能エネルギーで発電された電気を国が定めた価格で電力会社が買い取る制度)の影響で受注が増えてきました。そのような中でも、当社で水車製造の高度化に力を注いだ結果、従来ではなかなか受注が難しかった1万キロワットクラスの水車・発電機の仕事が受注できるようになりました。さらに当社の場合、水車と発電機のみならず、制御装置まで一気通貫でサービスを提供できることが強みになります。

しかし、そこで赤字が発生したという事実がありますので、これはこれでしっかりと体制を立て直していきたいと思います。すでに、2026年までの受注残高は約220億円と掲げていますので、しっかりと収益を上げていきたいと考えています。

また、FITは2022年に終了するのですが、その後開始するとされているFIP制度においても一定の需要があると見ていますので、その体制整備を急いでいます。

水力発電案件の生産体制強化策

今回の生産体制強化策を列挙しています。1つ1つご説明するのは省略しますが、従来は電力会社と共同研究などを行いながら協業してきた関係でありました。

そこで改善点が2つあります。受注に際しての見積りから製造段階での予算作成、生産プロセスにおける原価管理という一連の流れがあるのですが、1つは、このプロセスの仕組みを抜本的に見直し、かつ、そこでの責任を明確にするというものです。その上で、特に大型案件で重要な案件は、きちんとプロジェクトダイレクターを配置し、全体を俯瞰したマネジメントに切り替えていくことを進めています。

またもう1点、注力しなければならないのは、技術の継承と育成、サプライチェーンの確立です。国内外を含めたサプライチェーンの確立を準備しています。受注する力はありますので、この2つの施策をしっかりと作り込み、お客さまの信頼を得るべく、今までどおりきちんとよいものを納め、収益を上げていきます。

今回多額の赤字を出したこと、また決算の発表が遅延したことに関しては、私を含めて部門の幹部報酬を一部返上し、監督責任も明確にした上で全力を尽くして対処していきますので、よろしくお願いいたします。

都市空間事業

次は都市空間事業です。主力は英国のBDP社ですが、新型コロナウイルスの問題、ロックダウンの問題があり、受注案件の小ロット化が進んでいます。従来はまとまった単位で仕事を取ることができたのですが、とくに民間のお客さまはここ最近は契約を細切れにして発注される傾向があり、それによる受注減少が出てきています。

一方で、BDP社は新型コロナウイルス感染拡大の当初からテレワークに切り替えており、生産体制は問題ありません。加えて、2年前に買収した、カナダのトロントにあるQuadrangle社も全面的にテレワークで対処しており、受注・売上・利益ともまったく問題ありません。

また、当社がもともと都市開発をしていたコンサルタント部門があるのですが、こちらを昨年7月に都市空間事業に移しています。事業規模で言うと年間約20億円、上期だけで言うと約7億円の仕事を移管しています。そのようなことから少し数字が見づらいかもしれませんが、その結果がここに反映されています。

プロジェクト紹介(都市空間)①

こちらは特徴的な仕事です。1つは、カナダの80アトランティック再開発事業という木造のオフィスビルです。私も、これそのものではないのですが、トロントで木造のビルを見てきました。地産地消型でありながら景観などが非常にセンスのよい仕上がりであるということで、おそらくこれからこのようなニーズが増えていくと見ています。

2件目は英国の大学病院施設です。特徴的なのは、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するために、工期を4ヶ月間短縮することに貢献しているということです。

BDPの状況について補足すると、このコロナ禍においてヘルスケアの需要は非常に旺盛です。もちろん民間の、特に商業施設関連は経済との関連で冷え込んでいるのですが、一方でヘルスケアは大学といったBDPが最も得意とする施設は需要が非常に旺盛です。

特にヘルスケアに関しては、応えきれないほどの仕事がありますので、人員を相当強化しています。日本で言う執行役員クラスのチームについては、従来は3チームであったものを現在は5チームに増やし、対応に当たっている状況です。このあたりは、チーム編成のトップの展開と同時に、若手も含めた知見の習得も相まって効果が出てくると見ています。

プロジェクト紹介(都市空間)②

こちらは、日本工営とBDPが共同して受注した案件です。ダッカメトロ5号北線は、もともと日本工営が受注していた仕事なのですが、その中の地上5駅、地下9駅の駅舎の設計をBDPが担務しています。

このような案件においては当然、コスト競争という問題も出てくるのですが、その部分は本社であるマンチェスターオフィスから設計監修する一方で、実際の設計はBDPのインドの事務所で行うことで、設計の品質とコスト面の両面でバランスのよいサービスを提供していきます。

蛇足かもしれませんが、このような駅舎の設計においても、新型コロナウイルス感染対策を考慮したデザインも入っていると聞いています。

エネルギー事業

続いて、エネルギー事業です。こちらは業績的にはまだまだ投資段階ですので、特段ご説明するところはありません。ただ、従来からご説明していました欧州の蓄電池事業は、英国とベルギーで進めています。英国については、ファイナンスの最終クロージング段階に入り、多少厳しく見ても3月いっぱいでファイナンス組成が終わると見ています。ベルギーについては、再精査していく状況にあります。

プロジェクト紹介(エネルギー)

これはENEOSのお客さまですが、静岡市清水区にあります製油所の跡地で、太陽光等々を使った次世代型のエネルギー拠点(プラットフォーム)を作る計画があります。当社はコンサルタントだけではなく、エンジニアリングあるいは製品供給、施工、つまりEPCという範囲でサービスを展開できるようにしています。

現状はまだコンサルタント段階ですので、コンサルティングサービスを行っているところです。写真で見てもわかりにくいのですが、隣地に相当広大な敷地があります。エネルギー供給プラットフォームのみならず、跡地の再利用計画、都市空間の事業もありますので、エネルギー部門と都市空間部門の両者でもって対応しています。以上が今期の状況です。

2021年6月期見通し 修正内容

ここからは、2021年6月期を見通した状況についてご説明します。こちらは、今回の業績予想上方修正の概要です。受注高1,183億円、売上高1,176億円、営業利益49億円、当期純利益13億円を想定しています。それぞれの当初の計画との差異はスライドに記載しています。

期初は、新型コロナウイルス感染拡大の影響について非常に厳しく、最悪の状況を想定した対策も講じるということでスタートしました。結果的には、先ほどもお伝えしたように、国内事業は非常に順調に推移していますし、海外も国内との連携によって収益性をしっかり確保できました。

2021年6月期見通し セグメント別修正内容

セグメント別の修正内容を記載しています。簡単にご説明しますと、国内は新型コロナウイルスの影響を受けずに順調に進んでいます。

海外についても、JICAの案件が相当増えていますが、確実に受注し好調です。また、海外渡航の制約も、昨年10月下旬にJICAから再開がアナウンスされていますし、円借款の問題も昨年の秋口くらいにお客さまから現地復帰を要望されていますので、対策に万全を期しながら対応しています。

電力エンジニアリングについては、「やはり厳しい」という見立てをしています。売上・利益は厳しく、当初の計画よりもダウンサイドに見ているところです。

都市空間については、もちろんそのような影響はあるのですが、BDP社のウエストミンスター案件もすでに累積で70億円くらいまで受注が届いていますので、そのような状況を業績見込みに反映しています。

以上のようなバックグラウンドがありましたので、上方修正した次第です。

2021年6月期見通し(2/12修正)

こちらは各セグメントの数値です。

2021年6月期の位置付け

今年の下期は3つのテーマがあります。1つは、これまでの中期・長期の仕上げです。また現在、新しい時代の長期経営戦略を練っているところですが、そのスタートダッシュを図るための助走期間というのが2つ目です。コンサルティング事業については、昨年7月の組織改正によってすでにスタートしています。

3つ目は、新型コロナウイルスによる事業環境の変化を見据えた対策です。これはDXの加速に収斂できると思います。

2021年6月期 下期の見通しとポイント

下期の事業活動について、注意すべき点を整理しました。国内は特に問題ないのですが、中長期も見据えたDX推進による次世代の基幹技術の開発、さらにはDXを活用した生産性向上を加速していきたいと考えています。

海外においては、柔軟な要員配置をすでに行っているのですが、新型コロナウイルス感染を含めたいろいろなリスクがありますので、そこにおける新しいプロジェクト管理の手法の実践に取り組んでいきます。

また、DX技術についても、新興国のみならず途上国でもどんどん採用していく流れがありますので、これから受注する案件においてそのような前向きな変化も注視しています。

電力エンジニアリングにおいては2つあります。1つは足元の問題として、水力発電機の体制強化、収益性の確保があります。もう1つは、我が国のエネルギー市場においても、いよいよ2024年には需給調整市場がはっきりと形成されますし、卸売市場もすでに始動していますので、そのような新たな市場におけるアグリゲーションのシステム構築、さらにバランシングメカニズムのシステム構築に着手します。

都市空間については、やはりBDPで病院セクターの受注割合が増えることは明らかなのですが、その対処と、北米、アジア市場での展開の実績を積み上げていく段階です。その取り組みにより、英国のEU離脱のリスクも軽減できるという展望を持って取り組んでいます。

資本政策/配当政策

資本政策、配当政策です。基本的に考え方は変わりません。安定配当を堅持していくことと、財務の健全性を維持することを基軸に考えていきます。なお、今期の期末は75円の配当を実施する予定です。

今後のスケジュール

今後のスケジュールです。途中でご紹介しましたが、現在、新しい時代の長期経営戦略の詳細を策定中です。その骨格はほぼ見えてきたところですが、75周年記念事業の一環として6月7日に社内外に公表する予定です。

また、今期の確定決算後の8月には、長期の経営戦略に基づいた新しい中期経営計画と決算説明会について、あわせてみなさまにご説明する機会を設けたいと考えています。

当社の姿勢

最後になりますが、前回の説明会の時にも「企業価値観は考え方が変わってきた」とお話ししました。やはり長期を考えていく上での世界共通の社会課題は、格差や気候変動、国際協調だと思っています。これにきっちり応えていくことが企業価値向上の実現につながっていくと見ています。そして、その手前として、SDGsの2030年の開発目標が位置づけられると見ています。

このように、常に先を見た学習、検討、実行のプロセスを経ることによって100年企業たる企業になっていくと思います。そして、世界から「日本工営グループは絶対に必要だよね」と思われる、世界になくてはならない企業を目指していきたいと思っています。

以上、駆け足ではございましたが、第2四半期の決算のご説明と中期の見通し、若干先を見たお話をさせていただきました。どうもありがとうございました。

質疑応答:次世代基幹技術開発についてと渡航制限解除の目処について

質問者1:2点質問があります。まず、「2021年6月期 下期の見通しとポイント」のスライドに「DX推進による次世代基幹技術開発、生産性向上技術開発の加速」と書いてあるのですが、DXを推進することによって、具体的にどのような次世代基幹技術が考えられるのか教えてください。もし、DX関連の研究開発や設備投資額を明らかにできるようでしたら教えていただきたいと思います。

また、海外について渡航制限解除のお話がありましたが、有元社長ご自身から見て、海外の業務の再開はいつぐらいを目処に考えていますか?

有元:DXの推進では2つ目標を持っていますが、1つは次世代基幹技術の開発、もう1つは生産性の向上です。生産性の向上については、例えばBIMやCIMがそうであるように、コンサルティングに携わる上で、ITあるいはAIを活用することによって生産性を上げます。これは、事業戦略本部を中心に各部でどんどん展開していますので、生産性は確実に上がっていくと見ています。

次世代基幹技術については、技術を推進する事業戦略本部と実際にビジネスを展開する事業部門の連携プレーなわけです。事業戦略本部では、例えばデータを活用しやすくするためのデータプラットフォームを築きながら、PoC、実証研究を繰り返し行っていくことを進めています。

具体的に言うと、現在は活動の半分近くがスマートシティという言葉に集約できると思います。ご存じのとおり、スマートシティは決まった概念があるわけではなく、一番最初は「エネルギーを賢く使おう」というところから始まっていると思います。最近はニーズがもっと広くなり、例えば交通関係であれば、MaaSを使ったり自動運転を使ったりという活用方法が出てきています。

弊社がそのニーズに対応するためには、例えば、都市OSについて事業戦略本部で研究し、事業部門で検証事業を行うということです。さらに、その技術をいずれ社会実装する時には、もしかすると日本からではなく海外で先に適用するほうが早い可能性があることなど、イメージを持ちながら両方で切磋琢磨していくということです。

また、DX“だけ”の投資額としては明確にしておりませんが、現在の当社の研究開発費は売上の約1パーセントです。昨年実績にも11億円くらいあったと思いますが、その中にDXのものも入っていると考えてもらってよいと思います。

2つ目のご質問の渡航制限解除の目処についてですが、JICAは確かに昨年3月に渡航制限が行われ、10月末に「国を指定して一部解除します」としています。

一方で、円借款は渡航制限はありません。むしろお客さまは相手国政府ですので、我々から「これは危機的状況だから一度下がります。その代わり日本からリモートでマネジメントします」と提案し、場合によっては、その国にいながら在宅勤務のかたちを取るなど、いろいろな手法を企てているところです。

実際の数字で言うと、渡航制限等々で駐在者が一番減ったのは昨年7月末ですが、その頃は170名くらいが現地にいました。海外の営業事務所のメンバー、そして日本工営の社員がそのまま海外に残り、動いている状況です。

その後、円借款を中心に現地に復帰する社員が増えていき、昨年12月には300名くらいになりました。この時点でも、例えば、イラクのように入国制限措置を行う国もあります。今はそのように入国制限のある国も若干減ってきていますが、まだ国ごとに状況が違いますので、しっかりと安全確保が取れるところを条件に対応しているのが現実です。

そのため、私が会長をしているECFA(一般社団法人 海外コンサルタンツ協会)が中心になり、JICAと外務省に向けて要望していることがあります。お客さまとの関係で言うと、いったん工事を中断すると当然費用が出ますので、新型コロナウイルスに起因するコストの面倒を見る問題があります。

また、国ごとに病院などの施設や緊急搬送の情報公開、大使館とJICAの現地事務所と各民間会社の3社が共同して、JICAで言うプロトコル、現地での感染対策の行動規範を定めています。各社全員が同様の研修を受け、同様の基準を持って対処しながら、ODAの活動と同時に各社従業員の生命の安全を確保する対応を取っています。

質疑応答:新・長期経営戦略についてと記念配当について

質問者2:2つ質問があります。6月に新・長期経営戦略を発表するということですが、この長期というのは、だいたいどのくらいの期間を指すのでしょうか? これが1点目です。

また、今期は75周年ということで区切りの年だと思うのですが、なぜ記念配当がないのでしょうか? 過去を見ると、2001年3月期と2011年3月期にはそれぞれ12.5円の記念配当がありました。ただ、2021年6月期は記念配当なしとなっています。この理由を教えてください。これが2点目です。

有元:新・長期経営戦略のスコープは2030年と設定しています。向こう10年間を見てどうしていくのかということです。当然、その先も見た上で2030年までにどうなりたいかということを中心にまとめています。

今日の資料にも一部記載していますが、「これからの事業ドメイン10年間をどうしていきますか?」ということについては、3つのドメインで進めていくということです。コンサルティングは、国内・海外と分けずに統合して進めていきます。コンサルティング・都市空間・エネルギーという3つのドメインで進めます。

2つ目の「75周年を機に記念配当はどうか?」というご質問ですが、これは考えていません。これまで長期安定配当だったものを、すでに中期安定配当というかたちに変えています。配当性向30パーセントを1つの目途にし、安定配当していくという考え方に切り替えています。

ただ、ご覧のように今期の期末の純利益見込みから言うと、過大な配当額になっているのですが、主力事業がしっかりしていますし、将来の見通しも立っています。配当性向が高くなることは当然わかっていますが、安定配当という方針を優先し、ここは75円でいきたいと考えています。

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