コロナ禍は各方面に影響を及ぼしていますが、小売業では明暗が分かれています。経済産業省の商業動態統計によると、感染第1波で緊急事態宣言が出された昨年(2020年)上期の商業販売額のうち、小売業は全体で前年同期比▲5.3%減、特に百貨店業界は同▲33.1%減という大幅な落ち込みを記録しました。
一方で巣ごもり需要に支えられたホームセンターは+7.5%、家電大型専門店は+3.5%増。郊外型家電量販大手のケーズデンキを運営するケーズホールディングス(以下、ケーズHD)も、コロナ特需の恩恵を受け、2月1日に発表した2021年3月期第3四半期の連結業績(2020年4月~12月)は大幅な増収増益となっています。
「『お客様第一』の実現のための従業員第一」を事業コンセプトの一つとして掲げる同社は、この好調さを支える従業員にどんな還元を行ったのでしょうか。近年の業績とともに見ていきます。
コロナ禍で郊外型の家電量販店に追い風
家電量販店の販売額が増加した要因について経済産業省の経済解析室ニュースでは、「テレワークやオンライン授業の増加によるパソコンやタブレットなど情報家電の好調に加え、特別定額給付金効果もあり、5月以降、生活家電等も復調した」と分析しています。
その家電量販店には、都心部の駅前に立地する都市型大型店舗を擁する「ビックカメラ」などと、「ヤマダ電機(ヤマダホールディングス)」「エディオン」といった郊外型店舗中心の企業があります。
コロナ禍では不要不急の外出自粛要請により都心部での人出が減少したことで都市型は苦戦を強いられましたが、逆に昼間人口が増え、マイカーで買いに行ける郊外型はコロナの影響が相対的に小さかったようです。特に、他の郊外型各社が今期の通期売上高予想を前期比3~7%増と見込むなか、ケーズHDは10%増とするなど、好調さが際立っています。