金融庁の「老後生活には2,000万円の蓄えが必要である」というリポートが話題となる一方、入居一時金だけで3億円を超える超高級有料老人ホームに入居する方も存在します。
ちなみにこの3億円は賃貸物件の「敷金・礼金・保証金」や「前払家賃」などにあたるもので、管理費や食費に相当する月額使用料は更に別途かかるというのですから、
- 入居したらどのような「夢のシニアライフ」が待っているのか?
- 亡くなった後、入居金はどうなるのか?(一部返却されるのか)
- そもそもなぜそんな高級な老人ホームに入居したいと考えるのか?
・・・等々、興味や疑問が次々と沸いてくるのは当然のことです。
そこで今回は、高級ホテル並みといわれる超高級有料老人ホームの設備やサービス、レストラン顔負けの食事などについてご紹介。
退去した場合、亡くなった時に高額の入居金は返還されるのか?といった「お金」にまつわるお話、お金があっても入居NGとなる注意点などについてもお伝えしてまいります。
一度でイイから見てみたい!これぞ「THE高級有料老人ホーム」
ではまず日本を代表する高級有料老人ホームを見てまいりましょう。
サクラビア成城(東京都世田谷区)
「○○ヒルズ」と名の付くオフィスビルや商業施設で有名な森ビル株式会社と、セキュリティのトップ企業セコム株式会社が日本有数の高級住宅街、東京都世田谷区成城にオープンしたのが「サクラビア成城」です。
テレビや雑誌の高級有料老人ホーム特集には必ずといっていいほど登場し、3億円を超える入居一時金(最もリーズナブルな居室でも1億円超えです)が衆目を集めています。
国内トップランクの費用がかかるだけあって、その外観・内装は豪華の一言。
錦鯉が優雅に泳ぐ日本庭園やシャンデリアが輝くロビーは、ニューオータニやオークラといった一流ホテルに勝るとも劣りません。
グランクレール馬事公苑(東京都世田谷区)
東急不動産ホールディングスグループ直営の「グランクレール馬事公苑」は2LDKタイプで入居一時金が1億円を超える、高級有料老人ホームです。
オックスフォード大学や英国の貴族の館を思わせる外観は、伝統を感じさせる様式美で、重厚感が感じられます。
またBunkamuraを有する東急グループだけあり、季節に合わせたコンサートや毎週日曜日に行われるピアノの生演奏など、文化イベントが充実しているのも魅力。
リムジンによる二子玉川や桜新町などの近隣エリアへの送迎サービスもあり、アクティブなシニア向けといった印象を受けます。
サンシティ吉祥寺(東京都三鷹市)
「サンシティ吉祥寺」のテーマは「リゾートホテルのような上質な住空間」。
住みたい街ランキングで常に上位にランキングされる吉祥寺エリアにありながら、空間を贅沢に、ゆったりと使用しているため、リラックスして毎日が過ごせる印象です。
プールやフィットネスルーム、シアタールームまで完備して、ゆとりのシニアライフを送ることができそうです。
トラストグレイス御影(兵庫県神戸市灘区)
老人ホームといわれなければ「なんて素敵なリゾートホテルなんだろう」と見まがうほどの「トラストグレイス御影」。
リゾートホテルやゴルフ場などを手がけるリゾートトラストグループが運営元なだけあり、「100万ドルの夜景」神戸の街を一望できる抜群の眺望はリゾートホテルを上回り、わざわざ出かけてみたいと思わせるほどです。
また壁一面ガラス張りの展望大浴場や露天風呂、屋上プールにジェットバスなど、クアハウスなみの入浴施設も充実。
1億円を超える入居一時金(前払い賃料を含む)も納得のクオリティです。
高額な費用を支払ってでも入居したくなるワケ~1億円超えのクオリティ~
1億円を超えるような入居一時金を払ってまで「老後はここで暮らしたい」と思わせる高級有料老人ホーム。
人々の心を惹き付ける理由はその「快適性」と「安心感」にあります。
コンシェルジュ常駐 まるで高級ホテルのような快適性
高級ホテルに泊まったときに感じる「快適性」の秘密は、その行き届いたサービスにあります。
そのサービスの中心となるのがコンシェルジュと呼ばれる「万能サービススタッフ」です。
ほとんどの高級有料老人ホームには24時間体制でコンシェルジュが常駐し、施設サービスの利用方法から居室内の電化製品の操作方法、時には個人的な悩みの相談にまでのってくれます。
常に「かゆいところに手が届く」サービスを受けられるのが、高級有料老人ホームの魅力なのです。
高級マンションのような佇まい
また住む人を満足させる、重厚な高級マンションのような佇まいも魅力の1つになっています。
都心近くの高級住宅街や自然あふれるリゾート地といった立地も最高で、建物自体も海外の歴史建造物を思わせるレベルの施設さえあるほどです。
共有部分であるロビーなどのインテリアや照明などにもこだわりを見せ、住む人のプライドを満足させる誂えになっています。
毎日がミシュラン⁈充実の食事メニュー
リタイアしたシニアにとって、最大の楽しみは毎日の食事です。
そこで各施設では一流ホテルやレストランのシェフを招聘したり、監修を依頼するなどして、充実をはかっています。
上で紹介したサクラビア成城では和・洋・中を中心に日替わり・週替わりのメニューを30種類以上も用意。更には寿司カウンターを設置して近隣の寿司屋の出張サービスまで行うほどです。
毎日がミシュラン状態といっても過言ではありません。
エンタメ・フィットネス設備も充実
食事と共に老後の楽しみとなる趣味関係の充実も抜かりはありません。
囲碁・将棋や麻雀のできるゲームルームから茶室、シアタールームにアトリエ、音響設備の整ったコンサートホールまで備えた施設もあります。
また体力をキープするためのフィットネスルームや、ジャグジー・露天風呂・マッサージルームなどを備えた温泉施設が「自宅に併設」されている環境は、健康に対する関心が高いシニアにとって、最高の環境といえるのです。
万全の医療・介護体制
快適性に並ぶもう一つの柱、「安心感」についても高級有料老人ホームは万全です。
基本的に医師または看護師が24時間・365日常駐しており、同一建物の中に診療所を併設している施設も少なくありません。
また介護施設を併設している所も多く、介護状態になっても施設内の介護エリアに住み替えをするなど、シームレスな対応が可能となっており、「終の住処(ついのすみか)」として安心して暮らすことができるのです。
THE超高級有料老人ホーム「お金の話」
夢のように快適で、安心した老後を過ごすことができる高級有料老人ホームですが、その対価としてかなり高額な費用がかかります。
サクラビア成城の場合を例に取ると、居室の広さによって異なりますが、前払金の金額は以下のようになっています。
- 1名入居 1億1,910万円~2億8,910万円
- 2名入居 1億3,670万円~3億670万円
※2021年2月の金額
この前払金には、
- 入居一時金(家賃相当額)
- 介護一時金
- 生活サービス一時金
が含まれますが、この他に家賃以外の食費や光熱費、管理費などが別途「毎月」かかります。
※2021年1月の金額 また食事は概算額です。選択したメニューによって金額が変わります。
入居時に1億~3億円くらいを一括で支払い、その他に生活費として毎月1人30万円強の費用が必要となるわけです。
では前払い金は、他の施設に移って退去したり、亡くなってしまった場合には返金されるのでしょうか?
退去や死亡の場合、入居一時金は返金される?
これについては、各施設とも月割り計算などを行い、未償却分については返金されることになっています。こちらも施設ごとに見ていきましょう。
サクラビア成城
前払金は180ヶ月(15年)かけて償却(16年目以降の追加料金はなし)。
15年以内に退去の場合は、前払金の未償却分・必要経費計算後の返還金を返金。
サンシティ吉祥寺
15年以内に退去した場合、
入居一時金×0.85÷入居一時金償却期間の日数×契約終了日から償却期間満了日までの実日数で計算した金額を返金
トラストグレイス御影
前払い賃料のうち、
月額賃料×(想定居住期間-入居開始日からあけ渡しまでの月数)
で計算した額を返金
※グランクレール馬事公苑も返還金計算式に基づき算定された額を返金
超高級有料老人ホームの「思わぬ落とし穴」~確認したい諸条件~
潤沢な資金さえ用意すれば、夢のようなシニアライフを満喫できる高級有料老人ホームですが、いくつかの注意点もあります。
基本的には「介護状態でない」ことが入居条件
各施設には所定の入居条件が設定されています。
その中で多いのが「自立していること」つまり、要介護(要支援を含む)状態ではないことという条件です。
この条件がある場合、いくらお金を積んでも介護状態である方は入居できません。
では入居中に要介護(要支援)状態になってしまったらどうなるのでしょうか。
入居中に要介護状態になった場合、退去を迫られる場合も
入居中に要介護(要支援)状態になった場合、退去して介護に対応する他の施設に移ることを迫られることもあります。
また同施設内に介護施設がある場合でも、移り住む際には別途費用が必要になる場合もあるため注意が必要です。
まとめ
住まいには豪邸・超高級分譲マンションから、一般的な賃貸マンション、そして公営住宅まで、様々な形態のものがあります。
そして住環境に資産を集中させるのか、住まいにはお金をかけず、趣味などに没頭するのかというのはライフスタイルの問題であり、どちらが良い・悪いと判断するものではありません。
有料老人ホーム選びにも同じことがいえます。
高級有料老人ホームはステイタス性もあり、快適性、安心感ともに満足できる、理想に近い高齢者施設ですが、高額な入居一時金などを他の趣味や旅行などに費やした方が充実したシニアライフとなるケースも十分に考えられるのです。
ほとんどの高級有料老人ホームは「体験入居」などを実施しています。興味のある方は、まずは実際に足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
- サクラビア成城 公式サイト
- グランクレール馬事公苑 公式サイト
- サンシティ吉祥寺 公式サイト
- トラストグレイス御影 公式サイト
アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー(AFP)/JSA認定ソムリエ/元歌舞伎役者 杉浦 直樹
