高齢者世帯の貯蓄額は減っている!?
高齢者世帯の平均貯蓄は2285万円でした。高齢者のうち、無職の世帯に絞ると平均は2244万円になります。あまり大きな差はありませんね。
それでは近年の高齢無職世帯の貯蓄現在高の推移をみていきましょう。
- 2014年・・・2372万円
- 2015年・・・2430万円
- 2016年・・・2363万円
- 2017年・・・2348万円
- 2018年・・・2280万円
- 2019年・・・2244万円
ここ数年減少傾向にはあるものの、平均値では2000万円を超えていますね。
「貯蓄2000万円組」が油断できない理由とは?
これまで見てきたように、2000万円の貯蓄がある世帯は意外にも多いようです。しかし2000万円はあくまでも目安であり、実際に必要な金額は世帯によって大きく変わってきます。
では、ここで「老後2000万円」のもととなっている支出「26万3718円」の内訳を紹介します。
- 食料・・・6万4444円
- 住居・・・1万3656円
- 光熱・水道・・・1万9267円
- 家具・家事用品・・・9405円
- 被服及び履物・・・6497円
- 保健医療・・・1万5512円
- 交通・通信・・・2万7576円
- 教育・・・15円
- 教養娯楽・・・2万5077円
- その他の消費支出・・・5万4028円
- 非消費支出・・・2万8240円
ここで注目していただきたいポイントが、まず「住居費」。
住居費は世帯によってかなり差がある項目といえるでしょう。
仮に5万円の賃貸物件に住んでいた場合、30年間の賃料と更新料、引っ越し代などで、約2000万円は必要となるでしょう。また、賃料の上昇リスクなども考慮しておく必要があります。
そして、最大の盲点となるのは「介護費用」が含まれていない、という点です。
こちらも世帯毎に状況が異なるため一概には言えませんが、仮に有料老人ホームに入居する場合、数百万円以上の入居費用が必要となることが考えられます。更に月々の費用がかかる場合がほとんどです。
また、要介護状態に応じて区分があり、在宅の場合の支給限度額や施設の場合の保険給付額が決まってきます。区分によって1カ月あたりの利用限度額が定められていて、限度額を超えた分は自己負担となります。
《居宅サービスの1カ月あたりの利用限度額》(2019年10月~)
- 要支援1・・・5万320円
- 要支援2・・・10万5,310円
- 要介護1・・・16万7,650円
- 要介護2・・・19万7,050円
- 要介護3・・・27万480円
- 要介護4・・・30万9,380円
- 要介護5・・・36万2,170円
公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2018年)」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッド購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7万8000円と算出されています。
自宅介護の場合でも、要介護認定を受けてデイサービスなどを利用する場合の自己負担額や、医療費、紙おむつ代、自宅の手すりの設置など、各種費用が必要となるわけです。