金融庁・金融審議会の報告書に、老後の生活を続けていくには年金以外に2,000万円の資金が必要という試算、いわゆる「老後2,000万円問題」が掲載され、大きな話題となりました。
一般的に定年を迎える65歳時に2,000万円が必要とのことですが、ではその定年までのカウントダウンが始まる50代ではどれくらいの貯蓄額が必要なのでしょうか。
そこで今回は、
- それ以下の貯蓄額では「老後破産予備軍」となってしまう50代のデッドライン
- 実は「医療費・介護費」を考えると2,000万円でも足りない
- 50代は「ゴールデン貯蓄期間」挽回は十分可能
- 貯蓄額よりも健康寿命を伸ばすことが重要
といったお話をお伝えしてまいります。
50代「貯蓄額1,000万円以下」は要注意
まずは老後破産の可能性が高くなる「デッドライン」、そもそも「老後資金2,000万円」に届かない貯蓄額について考えてみます。
50代で貯蓄額200万円以下だと「老後破産」確定⁈
総務省が発表した2020年の「家計調査年報」によると、50代の平均年間貯蓄額は180万372円となっています。
10年間で約1,800万円。
つまり55歳時点で貯蓄額が200万円以下だと、65歳までに2,000万円貯めることが難しくなり、老後破産の可能性がかなり高くなってしまうのです。
「病気」や「介護状態」になると2,000万円では足りない
また65歳までになんとか2,000万円を貯めることができても、病気をしたり介護状態になって医療費・介護費がかかると、2,000万円では足りなくなってしまうのです。
金融審議会の報告書でも、
『支出については、特別な支出(例えば老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要』
引用元:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
と記載されており、「老後2,000万円」が準備できても、決して安心できないと注意を促しています。
平均寿命から「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」である健康寿命を引いた「何かしらの介護状態にある期間」は平均10年という調査結果が出ています。(2016年の厚生労働省発表の健康寿命データより)
また、公益財団法人生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(平成30年度)」によると、介護関連の自己負担額は月額「7万8,000円」になるとのこと。
つまり
78,000×12ヶ月×10年=936万円
およそ1,000万円の介護関連費用が「老後2,000万円」以外に必要となる計算です。
以上のことから、55歳時点で1,000万円以下の貯蓄額の場合、その後年間180万円ずつ貯金しても10年で1,800万円にしかなりません。
よって、「老後2,000万円+介護関連1,000万円」の合計3,000万円には届かず、「老後破産予備軍」となってしまうことが分ります。
でも、諦める必要はありません。次では「ゴールデン貯蓄期間」についてお話していきます。