キュレーターから読者に伝えたいポイント
株式投資のポイントは、過去の実績より将来の変化見通しを意識することにあります。過去の実績を精緻に分析できても、将来見通しが外れてしまっては、元も子もないからです。これから始まる決算では、バックミラーではなく、フロントガラスを見ながら、将来の先読みを心がけましょう。
上向き始める日米の企業業績
10月も後半に入り、米国に続いて来週からは日本でも7-9月期の決算が本格化します。株価の決定要因は、企業業績、金利、需給関係、政治動向など様々ですが、株価は「企業価値」という原点に立ち戻れば、様々な要因の中で最も重視すべきなのは企業業績ということになります。
では、その企業業績はどのようになっているのでしょうか。今後発表される決算により結果が変化する可能性は高いものの、以下の記事によると、米国S&P500指数ベースの一株当たり純利益(EPS)は、2016年7-9月期は前年同期比で小幅減益(▲1.6%減)が見込まれていますが、次の10-12月期は増益(+6.3%増)に回復というのがコンセンサス予想となっているとのことです。
また、年間ベースでも2016年は、年前半の原油・エネルギー関連企業の不振により▲0.2%減の見込みですが、2017年については、原油市況の回復等により二桁増益(+13.5%増)に転じる見込みであるとのことです。
一方、日本については、2016年が+7.7%増、2018年は7.8%の増益が見込まれています。また、2017年については、鉄鋼・非鉄、エネルギー資源、電気・精密など、景気敏感株の増益率が高いという見方がコンセンサスとなっています。
円高の一服、原油相場や素材市況の回復、世界的な景気対策(インフラ整備を主目的とする財政出動)の効果などを考慮すると、こうした見方に特に違和感はないと思われます。
また、このように企業業績を先読みすると、ブル(強気)相場はすぐそこ、いや、もう始まっている、と考えてもおかしくないのかもしれません。
出所:日米の企業業績は下向きなのか上向きなのか?(楽天証券)
米国、中国の景況感が“悪くない”ことにも注目したい
企業業績に次いで株価の決定要因として無視できない要因が景況感ですが、それを示す足元の数値が“悪くない”ことにも注目したいと思います。というのは、10月前半に発表された米国および中国のそれぞれのPMI(購買担当者指数)は、製造業指数も非製造業(サービス業)指数も「景況感の分岐点」とされる50を上回っているからです。
なお、昨年中盤から今年前半にかけて、株式市場の“重し”となっていた中国に関しては、不良債権問題や軟調な貿易統計などの気がかり材料は依然として残ります。ただ、上述したPMIが50を上回っていることに加え、生産者物価指数も9月はプラスに転じるなど改善も見られることに留意したいと思います。このため、チャイナリスクに対して過度な懸念は不要であると考えられます。
出所:中国貿易データ、即断即決は避けるべきと見る(ピクテ投信投資顧問)
決算を経て業績相場入りか?
10月20日の日経平均は5連騰となりました。終値も1万7,000円台を回復しており、日経平均が狭いレンジで動く膠着相場を脱し上値を試す動きがより顕著になってきました。この背景としては、上述した企業業績の改善期待が、ようやくここにきて株価に織り込み出されてきた可能性が考えられます。
もちろん、今後の決算の内容次第では、企業業績の改善に疑問符が付く可能性も残っているため、はしごを外されるリスクには十分な注意が必要です。しかし、これから本格化する企業決算を経て、企業決算の内容を評価する業績相場へシフトする可能性はまだ十分にあると考えられます。
そのため、これから日本株への投資をしようかと検討されている方には、この記事にあるように、為替相場の動きに注意しながら、好業績の出遅れ銘柄をコツコツと拾う戦略をお勧めしたいと思います。
出所:【相場展望】10月後半の株式相場は強含み? 要注意リスクは何か(投信1)
LIMO編集部