2026年1月23日、厚生労働省より新年度の年金額改定が公表されました。2月も過ぎ、春からの新生活に向けて家計の計画を見直している方も多いのではないでしょうか。
今回の改定で年金の額面は4年連続のプラスとなりましたが、日々の生活で感じる物価の上昇は続いています。「増えた年金で生活を維持できるのか」という不安の声も少なくありません。
特に、現役時代の働き方が受給額に影響しやすい厚生年金では、男女間の格差も課題となっています。
この記事では、シニア世代のリアルな年金事情や、公的年金制度の基本をわかりやすく解説します。2026年度の年金支給日カレンダーや、さまざまな働き方に応じた年金額のシミュレーションを通じて、ご自身のライフプランニングにお役立てください。
1. 2026年度の年金額が決定。厚生年金は+2.0%、国民年金は+1.9%に増額
今回の改定により、受け取る年金の額面は増額されます。
改定は「4年連続のプラス改定」となり、年金額の額面は上がることになります。しかし、日々の買い物で実感するように物価高は続いており、「増額された年金で現在の生活水準を保てるのか」と心配する方もいるでしょう。年金の増額幅が物価上昇に追いつかなければ、実質的な生活は厳しくなる可能性も考えられます。
本記事では、シニア世代が実際に受け取っている年金額や、公的年金制度の基礎知識をわかりやすく解説します。2026年度の年金支給日カレンダーをはじめ、多様な働き方に対応した年金額のシミュレーションも紹介しますので、ご自身の将来設計の参考にしてください。
2. 【2026年度版】公的年金の支給日はいつ?支給日カレンダーで確認
老後の生活を計画するうえで、年金を「いくら受け取れるか」は非常に重要ですが、同時に「いつ支給されるか」というサイクルを把握しておくことも大切です。
公的年金は、原則として「偶数月の15日」に、直前の2カ月分がまとめて指定口座へ支給される後払い方式です。
支給日である15日が土日や祝日に重なる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支払われます。2026年から2027年にかけての具体的な支給スケジュールを確認しましょう。
【2025年度~2026年度】年金支給日カレンダー2/7
出所:各種資料をもとにLIMO編集部作成
- 2026年 2月13日(金): 2025年12月・2026年1月分(※15日が日曜日のため前倒しで支給)
- 2026年 4月15日(水): 2026年2月・3月分
- 2026年 6月15日(月): 2026年4月・5月分
- 2026年 8月14日(金): 2026年6月・7月分(※15日が土曜日のため前倒しで支給)
- 2026年10月15日(木): 2026年8月・9月分
- 2026年12月15日(火): 2026年10月・11月分
- 2027年 2月15日(月): 2026年12月・2027年1月分
- 2027年 4月15日(木): 2027年2月・3月分
つまり、年金受給者の家計では「奇数月」に定期収入がありません。2カ月分の生活費を一度に受け取ることになるため、計画的な支出管理がより一層重要になるといえるでしょう。
3. 2026年度の年金額改定のポイント:厚生年金は+2.0%、国民年金は+1.9%へ
2026年1月23日、厚生労働省は「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」を公表し、2026年度(令和8年度)の年金額改定率を発表しました。近年の物価や賃金の変動を反映した結果、4年連続でのプラス改定となっています。
- 厚生年金(報酬比例部分): 2.0%の引き上げ
- 国民年金(老齢基礎年金): 1.9%の引き上げ
3.1 月額いくら増える?モデルケースで見る年金受給額
- 国民年金(満額): 月額 7万608円(前年度から約1300円の増額 ※1) ※昭和31年4月1日以前に生まれた方は月額6万9108円
-
厚生年金(夫婦2人の標準モデル):
月額 23万7279円(前年度から約6000円の増額 ※2)
※2 平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)で40年間就業した夫と、その期間に扶養されていた専業主婦の妻という世帯のケース
「夫婦で月額約23万7000円なら生活できそう」と感じるかもしれませんが、これはあくまで会社員の夫と専業主婦の妻という特定のモデル世帯を想定した金額です。共働きや単身、自営業など、ライフスタイルが多様化する現代では、この数字が必ずしも自分に当てはまるとは限りません。
次の章では、より現実に即した働き方別の受給額シミュレーションを見ていきましょう。
4. 厚生年金メイン【平均年収420万円×33年勤めたら】65歳以降でもらえる年金目安の月額は?
今回の年金額改定の発表に際し、厚生労働省は「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」の中で、多様な働き方に応じた年金額の概算も公表しています。ご自身の経歴に近いパターンを参考に、将来の受給額をイメージしてみてはいかがでしょうか。
4.1 働き方でこんなに違う?年金受給額のモデルケース別シミュレーション
4.2 パターン1:厚生年金が中心の会社員男性
- 想定:平均年収約610万円(月額換算50万9000円)で40年間就業
-
年金月額の目安: 17万6793円
- (内訳:基礎年金部分が約7万円、厚生年金部分が約10万7000円)
4.3 パターン2:国民年金が中心の自営業・フリーランス男性
- 想定:厚生年金への加入期間が短く(約7年)、大部分が国民年金の加入期間
-
年金月額の目安: 6万3513円
- この金額だけで老後の生活を賄うのは簡単ではないため、iDeCoやNISAなどを活用した資産形成が重要になります。
4.4 パターン3:厚生年金が中心の共働き女性
- 想定:平均年収約427万円(月額換算35万6000円)で33年間就業
- 年金月額の目安: 13万4640円
4.5 パターン4:国民年金が中心の自営業女性
- 想定:厚生年金への加入期間が短い(約6年)
- 年金月額の目安: 6万1771円
4.6 パターン5:第3号被保険者期間が長い専業主婦
- 想定:扶養内でパートタイマーとして働いていた期間が長い
- 年金月額の目安: 7万8249円
このシミュレーションからもわかるように、同じ期間働いたとしても、厚生年金への加入期間によって受給額に月10万円以上の差が生まれることがあります。
特に国民年金が中心となる方は、公的年金だけに頼らない老後資金の準備を早めに検討することが大切です。
5. 【統計データ】年金受給者のリアルな平均月額はいくら?
理想的なモデルケースだけでなく、実際に年金を受け取っている方々の平均額を知ることで、より現実的な視点から老後資金を考えることができます。
5.1 厚生年金の平均受給額(月額)は約15万円
- 男性平均: 約17万円
- 女性平均: 約11万円
男女で平均額に差がある背景には、過去の賃金体系の違いや、出産・育児などでキャリアを中断したことによる就業期間の差などが影響していると考えられます。厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、特に女性は月額8万円から10万円の層に最も多くの人が分布しています。
5.2 国民年金の平均受給額(月額)は約5万9000円
令和6年度の国民年金の満額は約6万8000円ですが、厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、実際の平均受給額は約5万9000円です。これは、保険料の未納期間や免除・猶予期間などがあり、満額を受給できる条件を満たしていない人がいるためです。
6. 日本の公的年金制度の基本「2階建て構造」とは?
ここで、日本の公的年金制度の基本的な仕組みについて、改めて確認しておきましょう。
6.1 1階部分にあたる国民年金(基礎年金)
- 対象: 日本国内に住む、原則20歳以上60歳未満のすべての人が加入
- 特徴: 制度の土台となる部分です。現役時代に「定額」の保険料を納めることで、将来は加入期間に応じた「定額」の年金を受け取ります。
6.2 2階部分にあたる厚生年金
- 対象: 会社員や公務員など
- 特徴: 現役時代の給与(報酬)に比例して保険料と将来の受給額が決まる「報酬比例」の部分です。この2階部分が手厚いほど、老後の生活に安定感が生まれます。
7. まとめ:年金額改定と物価上昇の現実。将来への備えを
2026年度の年金額引き上げは喜ばしいニュースですが、同時に物価上昇が家計に与える影響も考慮する必要があります。
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によれば、70歳代の世帯では、二人以上の世帯でも単身世帯でも、87.7%が家計に「ゆとりがない」または「苦しい」と感じている状況です。
その主な理由として半数以上が「物価上昇」を挙げており、公的年金が生活の基盤であることは間違いありませんが、それだけでインフレの波を乗り切るのは容易ではない現実がうかがえます。
将来の生活に備えるためにも、まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金見込額を確認してみてはいかがでしょうか。
その上で、預貯金だけでなく、NISAなどの投資や保険も活用し、ご自身に合った資産形成を計画的に進めていくことが大切です。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- LIMO「厚生年金メイン【平均年収610万円×40年勤めたら】65歳以降でもらえる年金目安の月額は?【保存版】2025年度~2026年度 年金支給日カレンダー」
マネー編集部年金班