この記事の読みどころ

  •  10月前半の日本株式相場は、ボックス圏相場の中でも徐々に上値を試し始めています。
  •  10月後半は最終週から本格化する企業決算が最大の注目点になります。
  •  その上期決算では、為替の影響を大きく受ける外需セクターを中心に、通期業績の見直しが多く出ると予想されます。悪材料の織り込み時期が焦点となるでしょう。

10月前半の株式相場の振り返り

10月前半は、小売セクターの決算発表(2月決算期)などが注目を集めた結果、円安が徐々に進行したことなどもあり、株式相場はボックス圏相場を抜けて上目を模索する兆候を見せ始めました。

ボックス圏相場の中でも徐々に上値を試す動きが顕著に

10月前半の株式相場は、ボックス圏相場の動きとなりましたが、徐々に上値を試す展開になりつつあります。

振り返ってみると、10月前半に相場を大きく動かすような材料は見当たりませんでしたが、為替相場が緩やかに円安に振れ始めた、米国の雇用統計発表でネガティブサプライズがなかった、小売セクターの決算発表が概ね想定線である、等の要因から大崩れせずに至っています。

ただ、10月11日に約1か月ぶりに終値で17,000円台を付けましたが、その後は再び17,000円を割り込む動きになりました。17,000円は大きな節目ではありませんが、市場には“プチ達成感”が出たかもしれません。しかし、株価の水準そのものは、徐々に切り上がってきている印象が強いと言えましょう。

ちなみに、10月14日終値(16,856円)は、9月末の終値(16,449円)との比較で+2.5%上昇となっています。また、10月前半のザラバ高値(17,074円)は同+3.8%上昇となっています。一方、商いは低水準が続いており、10月に入ってからはまだ一度も売買代金が2兆円を超えていません。こうした商いが大幅増加に転じるタイミングが重要になると考えられます。

日経平均株価の過去6か月間の推移

2016年10月後半の注目イベント、注目セクター

10月後半は、最終週から本格化する上期決算(3月決算期)が最大の注目点です。今回は、外需セクターを中心に、通期業績予想の見直しも行われると考えられるため、どの時点で株価が織り込みに行くのかが焦点です。

10月最終週から上期決算発表が本格化、外需セクターは業績修正の公算大

10月後半の最大の注目点は、何と言っても企業決算です。3月決算期の企業は、10月最終週(24日~)から上期決算発表が本格化します。特に、27日から28日にかけては相当数の企業の発表が予定されており、取引時間中における株価の乱高下も予想されます。場中の急騰や急落には安易について行かないことが重要になります。

上期決算の焦点は、実績もさることながら、通期会社予想の見直しです。Q1決算では据え置きになった会社予想も、この上期決算では見直しが入ると考えらえます。Q1決算時のように、従来予想を据え置く会社は少なくなるでしょう。

その中で、輸出関連企業を含めた外需セクターは、足元の円高進行を踏まえ、前提為替レートの変更を始めとして、業績予想を大幅に見直す動きが出てくるでしょう。場合によっては、上期決算の発表前に、業績下方修正という形でリリースが出てくる可能性もあります。

10月前半に決算発表があった多くの小売企業では、為替の影響は限定的でした。しかし、自動車、精密機器、電機、機械などの各セクターでは、そのような限定的なものに止まる可能性は低いと見られます。一方で、株価はそうした業績下振れリスクを、決算発表前から徐々に織り込み始めますし、実は、既に相当程度織り込んでいることも考えられます。決算発表前1週間くらいの株価の動きにも注意したいところです。

企業決算以外の注目点は「選挙」と「日銀金融政策」。だが影響は小さい?

企業決算発表以外で注目したい点は2つあります。1つは23日実施の衆議院補欠選挙(東京10区、福岡6区)です。万が一、両区で自民党候補が敗れるとなれば、政治リスクが顕在化することになりますが、現時点ではその可能性は低そうです。

もう1つは10月31日~11月1日に予定されている日銀の金融政策決定会合です。ただ、今回は金融政策の変更はないと見られており、また、FOMCより前に開催されるため、基本的には無風と見ていいでしょう。とはいえ、直前になって様々な観測が出ることもあるので、念のため留意しておくべきです。

好業績銘柄の下値をコツコツ拾う戦略が有効に

10月後半から本格化する企業決算を経て、企業決算の内容を評価する業績相場へシフトする可能性は十分あると考えられます。為替相場の動きに注意が必要となりますが、現在は、業種ごとに投資対象を絞るよりも、好業績の出遅れ銘柄をコツコツと拾う戦略が有効と言えましょう。

また、日銀が打ち出した追加緩和策(ETF購入6兆円)も、今後は徐々に効果を表す可能性があります。10月後半は、株式相場が強含みになる場面は十分想定可能と判断します。

 

LIMO編集部