「がんばって働いたぶん、老後は悠々自適に過ごしたい」と願うはたらきざかりの現役世代の方は多いかと思います。
そして、豊かなセカンドライフに欠かせないのが、お金。
2019年、金融審議会「市場ワーキング・グループ」のレポートに端を発した「老後2,000万円問題」。これをきっかけに、リタイヤ前の貯蓄目標額として2000万円を設定された方もいるでしょう。
「公的年金」の他に、「退職金」を前提としてマネープランを立てるケースもあるかと思います。
そこで今回は、民間企業と比較すると景気の影響を受けにくく、給与や雇用の面で安定感が高いイメージを持たれることが多い、「公務員」の退職金事情についてながめていきます。
定年退職金事情「国家公務員」の場合
さいしょに「国家公務員」の退職金事情についてながめていきます。
2020年11月に人事院が公表した「国家公務員給与の実態」では、現在の国家公務員の数は約58万6000人。このうち人事院の給与勧告の対象となるのは、「給与法の適用を受ける一般職の国家公務員」約27万8000人です。
※人事院給与勧告の対象外※
特別職の公務員(内閣総理大臣、国務大臣、裁判官、裁判所職員、国会職員、防衛省の職員など)
ここでは国家公務員のうち、一般行政事務職員等である行政職俸給表(一)適用者で、35年以上勤務した場合の退職事由ごとの退職手当の金額を、人事院の「退職手当の支給状況(令和元年(2019年)度退職者)」から整理していきましょう。
国家公務員の退職手当はどのくらいか
行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が35~39年の場合
平均支給額…2206万2000円
〈内訳〉
- 定年退職…2188万1000円(平均支給額)
- 応募認定(※)…2346万6000円(平均支給額)
- 自己都合…1782万7000円(平均支給額)
- その他…2074万円(平均支給額)
行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が40年以上の場合
平均支給額…2166万7000円
〈内訳〉
- 定年退職…2154万円(平均支給額)
- 応募認定…2300万6000円(平均支給額)
- 自己都合…1988万1000円(平均支給額)
- その他…2239万6000円(平均支給額)
行政職俸給表(一)適用者であれば、だいたい2000万円以上退職金を受け取ることができそうです。
ちょっと解説:「応募認定」とは
「早期退職募集制度」に基づく退職のことです。
早期退職募集制度は、45歳以上(定年が60歳の場合)の職員が対象。職員の年齢別構成の適正化を通じて組織の活力を維持することなどが目的。2013年11月1日から本制度に基づく退職(応募認定退職)が可能となりました。
参考:「早期退職募集制度について」内閣人事局
さらに解説:国家公務員の退職手当は民間企業を参考に見直されています
「国家公務員の退職手当の支給水準については、退職給付(退職手当及び年金払い退職給付(使用者拠出分))の官民均衡を図るため、おおむね5年ごとに行う民間企業の企業年金及び退職金の実態調査を踏まえて見直しを実施することとしています」
引用:内閣官房「退職手当の支給状況」