昨年来、新型コロナのワクチン開発に携わる企業に注目が集まっていますが、多くの製薬会社はコロナの悪影響を受け、業績が芳しくありません。コロナの感染拡大が「受診控え」を引き起こし、医薬品の需要が減少しているためです。

貼り薬の「サロンパス」でお馴染みの久光製薬(4530)も、2021年2月期の通期予想を売上高▲10%としています。今後挽回するためのチャンスは、どこにあるのでしょうか。

コロナ禍で医療用・一般用ともに需要が縮小

コロナ感染への恐れから発生した「受診控え」で、医薬品を処方されている患者数は、緊急事態宣言下の昨年5月には前年比81%に減少。その後、10月には96%の水準まで回復しましたが「第3波」の影響で11月には89%へと再び減少に転じました。

この需要減少は、多くの製薬会社や医薬品卸会社の減収・減益となって現れました。

久光製薬では、実は市販の一般用医薬品の売上構成比が拡大してきたことを考慮し、5年ほど前から営業のウエイトを医療用から一般用へ徐々にシフトしてきました。しかし、そこへ襲来したのが新型コロナです。医療用の不振に加え、一般用の需要までが人々の外出自粛やスポーツ活動の減少などで落ち込んでしまいました。

さらに、海外展開強化の布石とするべく、オフィシャルパートナーとなっていた「2020年東京オリンピック・パラリンピック」が延期となり、経営計画は足踏みを余儀なくされています。

まずはコロナ禍以前の久光製薬が、どのような事業環境にあったのかを確認してみましょう。