期待の道は海外での展開強化

2月に決算を迎える今期は減収減益の予想ですが、長期で見ても先行きは険しいと言わざるを得ないでしょう。コロナ収束の見通しがつくまで従来の需要水準への回復は難しく、さらに2021年4月からは2年に1度だった薬価改定が毎年行われるようになります。

こうした状況下で、久光製薬は「貼付剤による治療文化を世界へ」というスローガンのもと、海外市場の拡大を狙っています。具体的には、すでに売上の67%(2020年度末)が海外で占められている「サロンパス」などの大衆薬を、米・アジアの消費者を中心に拡販していこうと、自社販売の体制づくりを進めています。

日本では昔からお馴染みの「貼り薬」ですが、海外では治療手段として利用する習慣がないため、その効果を啓発していくことが重要となりそうです。いまだ東京オリ・パラは開催の可否が不透明ですが、開催となれば世界に向けて認知度を高めるチャンスになるかもしれません。

まとめ

久光製薬は、医療費を抑制したい国の政策などが影響して減収減益が続いていましたが、コロナ感染拡大による受診控えと外出自粛で更なる打撃を受けました。

需要がコロナ以前の水準に戻る時期は見通せず、国内市場はあまり期待が持てないかもしれません。今後は海外で活路を開き、貼り薬の普及に努めながら市場を開拓していく必要があるでしょう。

【参考資料】

山口 伸