共働きで老後は安泰か
これまで見てきたとおり、厚生年金に加入している共働き夫婦であれば、老後は多くの年金を受け取ることができますが、共働きと一言でいってもそれが会社員なのか自営業なのかによって貰える年金額は大きく異なってきます。
公益財団法人生命保険文化センターが実施した「令和元年度 生活保障に関する調査」を見てみると、夫婦2人が老後を過ごすために必要とされる最低日常生活費は平均22.1万円、さらにゆとりのある老後生活を送ろうとすると、その必要生活費は36.1万円であるということが分かっています。
もちろん住んでいる場所や、持ち家か否かなどによってもその指標は変わってくるかとは思いますが、ゆとりある生活を送ろうとすると厚生年金の共働き夫婦でもなかなか年金だけでその額に到達するのは難しいと考えられます。年金でまかなえない分の差額は貯蓄から切り崩していくことになるので、会社員の共働きだからといって油断するのではなく、しっかりと老後のことを考えて貯蓄をしていくことが必要となるでしょう。
そして自営業の夫婦など、国民年金の加入のみで年金受給額が少ないことが分かっている場合は、早めのうちから老後の資金源について夫婦でしっかりと話し合う必要があるでしょう。例えば「自分で年金を作る」をコンセプトにしたiDeCoという国の制度などもあるので、それらに一度目を向け、資産を運用しながら年金を自分で準備するということにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。安泰な老後生活に向け、早め早めに動き始めることが大切なのです。
参考資料
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査「専業主婦世帯と共働き世帯」統計表(専業主婦と共働き世帯)
- 厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業統計 平成30年度 」
- 公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
多田 秋