そして迎えた2021年8月期。Q1は全体としては黒字を維持していますが、国内事業は▲9億円の赤字。地域別の営業利益は日本▲9.0億円、豪州1.9億円、アジア12億円と、海外部門の利益で黒字を維持している格好です。

なお、前期2020年8月期の地域別営業利益は国内▲56億円、豪州0.2億円、アジア18億円で、国内事業は既に通期で赤字となっていました。

赤字の国内事業の行方

数字的に同社の最適解は、国内事業を最低限に留めて海外事業に注力することでしょう。しかしそれは国内店舗のさらなる縮小に繋がります。

同社はまだ自己資本比率が66%あるため(2020年8月期)、海外部門の黒字と合わせ、外食企業の中でもまだ体力に余裕がある状態です。ただし生き残りのためには、他の外食チェーン店で既に発表されているような国内店舗削減をさらに進めざるを得なくなるかもしれません。

お手頃価格のエスカルゴなど格安イタリアンを国内に広め急成長を果たしたサイゼリヤは、コロナ禍で赤字部門となった国内事業をどのように立て直すのか。今後の業績及び国内店舗数の推移が注目されます。

参考資料

株式会社サイゼリヤ「2021年8月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社サイゼリヤ「2020年8月期決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社サイゼリヤ「2019年8月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
株式会社サイゼリヤ「サイゼリヤ月次報告

石井 僚一