「老老格差」の貯蓄額

ここからは、貯蓄の平均値だけではなく、その分布についてもみていきましょう。

二人以上の世帯のうち、世帯主が60歳以上の世帯における、貯蓄額の分布は以下の通りです。

  • 100万円未満・・・8.5%
  • 100万~200万円・・・3.9%
  • 200万~300万円・・・3.4%
  • 300万~400万円・・・3.7%
  • 400万~500万円・・・3.2%
  • 500万~600万円・・・4.1%
  • 600万~700万円・・・3.5%
  • 700万~800万円・・・2.8%
  • 800万~900万円・・・3.1%
  • 900万~1000万円・・・2.3%
  • 1000万~1200万円・・・6.0%
  • 1200万~1400万円・・・4.8%
  • 1400万~1600万円・・・4.0%⇐貯蓄保有世帯の中央値(1506万円)
  • 1600万~1800万円・・・3.8%
  • 1800万~2000万円・・・3.3%
  • 2000万~2500万円・・・7.5%⇐70代以上の平均貯蓄額(2252万円)
  • 2500万~3000万円・・・6.2%
  • 3000万~4000万円・・・8.5%
  • 4000万円以上・・・17.3%

なお、貯蓄保有世帯の中央値は1506万円、平均値は2285万円です。

また、「貯蓄保有世帯の中央値」は「貯蓄ゼロ世帯以外の世帯」を貯蓄現在高の低い方から順番に並べ、ちょうど中央にある世帯の貯蓄現在高のこと。平均値は極端に高い数字の影響を受けやすいため、「中央値」を目安に捉えるといいでしょう。

先ほど示した70代以上の平均貯蓄額である「2252万円」を超えているのは約4割。それ以上に着目すべきは、100万円を下回っている世帯が一定数存在する点でしょう。

平均値だけに着目すると「70代以上って意外にお金持ちかも?」とも思えますが、上のデータ分布からは、世帯による差がかなり大きいことがお分かりいただけたかと思います。

冒頭でも触れましたが、「日本の高齢者はお金を持っている」というイメージを持つ方がいる一方で、生活保護の受給者も65歳以上に多いことが分かっています。

平均値だけでは読み取ることができない、二極化が起きているというわけですね。これぞまさに「老老格差」といえるでしょう。

さいごに

2019年に金融庁のレポートで示された「老後資金2000万円問題」。

この2000万円という金額は、「標準的な金額の公的年金が支給されていても、月額5万5000円が不足する」という計算に基づいた値です。

これをきっかけに、引退後の生活に向けた目標貯蓄額を設定された方も多いかもしれません。

年金受給額によっては、早いうちから預貯金の取り崩しが発生する可能性も。老後の生活をより豊かなものにするために、若いうちから、「お金を育てる」意識を持っていきたいものです。

参考資料

LIMO編集部