問題は、「新型コロナ対応の準備をしている間に新型コロナが収束したら、準備が無駄になる」と考えて準備を始めない医療機関 があるかもしれないと言うことです。そうした医療機関に準備をするインセンティブを持ってもらうためには、準備をしただけで多額の補助金が受け取れる制度を用意することも有益でしょう。
景気対策のバラマキより医療従事者支援が景気対策
新型コロナ不況への対応として、政府は「バラマキ」を行なっています。典型的なのが国民全員への10万円の給付です。今回の新型コロナ不況は、旅館や飲食店といった極めて限られた範囲の人々がとても深刻な影響を受けていて、それ以外の人の受けている影響はそれほどでもない、という特徴があります。
国民全体に10万円をばらまいたとしても、それだけでは受け取った国民は旅行に行ったり飲食に行ったりしないでしょうから、本当に困った人に恩恵が及ぶことは難しいかもしれません。
そうであれば、医療のほうにお金を使って新型コロナを押さえ込み、人々が安心して旅行や飲食に行けるような状況を作り出すことが、景気対策としても望ましい、と言えるのではないでしょうか。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。
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塚崎 公義