業績回復のカギは海外強化?

2021年11月期は、世界経済の回復を期待して増収増益を予想しており、海外事業に関してはエリアとチャネルの拡大を図るようです。2019年11月期決算時には、欧州・インドにおける新規代理店開拓のほか、中国で遅れていたEC対応を進めるなど、具体的な海外戦略を公表しましたが、2020年はコロナにはばまれ、こうした取り組みが不十分だった可能性があります。今後は再び積極姿勢に転じたいところでしょう。

長期的には、国内市場は人口減少による市場縮小が避けられません。一定の認知度を持つ中国市場で売上げを伸ばしながら他の海外市場に挑戦し、海外売上比率を上げることで成長できるのではないでしょうか。

まとめ

「爆買い」の特需が消えたことで象印は成長が止まり、ブランド認知の高さも中国の景気減速で有利に活かせなかったようです。最大の主力製品である炊飯器は、国内ではすでに成熟市場。 “炊く技術”の進化だけで大きな成長は見込めなくなっています。

食の質的向上へのニーズが強いアジア諸国など、海外での新規チャネル開拓は必須と言えるでしょう。

また、象印は2018年に、新事業開発のための組織も立ち上げています。象印の新たな顔となるような商品・サービスが誕生する可能性に期待したいものです。

参考資料

山口 伸