中国からの訪日旅行者は、2013年に131万人ほどだったのが、円安を背景に2014年には8割増の241万人に。「爆買い」が話題となった翌2015年には499万人へと激増しました。その後も増加は続いていますが、円安メリットがなくなったことなどもあり、1人当たりの消費額は減少傾向です。買い物支出額は2015年1-3月期の17万円台をピークに2020年初旬には10万円程度にまで減っています。

それと呼応するように、象印の業績も2015年に売上高が、2016年に営業利益がピークを迎えて以降、前期比マイナスが続いています。コロナ禍という重しも抱え、象印はどこに活路を見出そうとしているのでしょうか。

まず、象印の主要な事業内容と近年の業績を確認してみましょう。

象印の事業内容と近年の業績推移

象印の製品カテゴリーと売上高に占める割合は、2020年11月期の決算資料によると以下の通りです。

  1. 調理家電…炊飯ジャー、電気ポット、電気調理器具など〈72.5%〉
  2. リビング…保温保冷ステンレスボトルなど〈20.5%〉
  3. 生活家電…スチーム式加湿器、食器乾燥機など〈4.9%〉
  4. その他…配食保温容器など〈2.2%〉

また、海外売上比率は29.9%となっており、そのうちアジア向けが7割を占めます。

続いて、インバウンド需要が盛り上がる前後から直近までの業績推移を追って見ていきましょう。

2012年11月期の売上高は629.4億円でしたが、その後は徐々に業績を伸ばし、インバウンドに後押しされた2015年11月期は売上高898.0億円(前年比16.9%増)、営業利益101.7億円(73.0%増)、当期純利益63.1億円(67.9%増)と売上高のピークを迎えました。爆買いに加え、海外での販売も好調で増収増益となりましたが、翌2016年からは売上高が減少に転じています。