新型コロナウイルス禍によるテレワーク拡大で社員の評価が難しくなってきています。このような中、日本企業の雇用システムを欧米流の「ジョブ型」に切り替えるべきとする議論が盛んになっています。
果たして日本で「ジョブ型雇用」は浸透するのか。それが定着するならば、どのような形態をとるのか。そして未来の“働き方"について考えていきます。
ジョブ型雇用は同一労働同一賃金とも相性が良い
そもそも、「ジョブ型雇用」という言葉が日本で注目を集めたのは、2000年代の終わり頃からでした。労働問題の第一人者として知られる濱口桂一郎氏の著書『新しい労働社会』(岩波新書/2009年)などが発端となりました。
日本独特の「入社」という言葉や新卒一括採用制度に象徴される、企業共同体のメンバーとして迎え入れ職務を限定しない「メンバーシップ型」。これに対して、欧米をはじめ世界標準とされる雇用システムは、職務内容や労働時間などを明確化した雇用契約を結び、その範囲内でのみで働く「ジョブ型」であるというのが、その基本的な考え方です。
ジョブ型雇用システムは2020年4月から適用が始まった「同一労働同一賃金」とも、評価基準が明確化されるため相性が良いと言われています。これも現在、注目を集めている一因だと考えられます。