いま、政府では「就職氷河期世代」への支援について議論が進められています。

バブル崩壊後の就職難の時代に社会に出た、現在の40歳代・50歳代の方々の中には、希望する正社員の道を断念し、やむを得ず非正規や不安定な働き方を選んだ方も少なくありません。その影響は長く続き、今もなお、経済的に不安定な状況にある人が多いのが現実です。貯蓄や年収にも、そのしわ寄せが表れているようです。

「不遇の世代」ともいわれる就職氷河期世代。「老後に向けて、どのくらい貯金が必要なのか」「年金はどれだけもらえるのか」など、将来に不安を感じている方もいるかもしれません。

この記事では、40歳代・50歳代の中でも「おひとりさま世帯」の貯蓄状況に注目してデータを見ていきます。あわせて、ほかの年代との年収の違いや、現在のシニア世代が受け取っている公的年金(国民年金、あるいは国民年金+厚生年金)の実態も紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

1. 政府は「就職氷河期世代支援プログラム」について議論中

政府は「就職氷河期世代支援プログラム」を策定し、就職氷河期世代の社会参加と活躍を後押しするためのさまざまな支援策を展開しています。

主な柱は以下の3つです。

1.1 就労・処遇改善に向けた支援

就職氷河期世代のキャリアアップや安定した雇用を目的とした支援です。

  • 相談対応: ハローワークの専門窓口で、賃金上昇につながる転職・処遇改善のための情報を提供します。
  • 学び直し(リ・スキリング): 非正規雇用労働者向けのオンライン訓練を全国で展開し、資格と結びつく教育訓練給付金指定講座を拡大します。
  • 事業者支援: トライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金を充実させ、雇用する事業者を支援します。
  • 介護離職防止: 家族介護と仕事の両立を支援するため、両立支援等助成金の充実や地域の介護サービス提供体制を確保します。
  • 公務員・業種別支援: 国家・地方公務員、教員の中途採用を推進するほか、農業、建設業、物流業での就労支援を拡充します。

1.2 社会参加に向けた段階的支援

社会とのつながりに不安を抱える方への支援です。

  • つながり確保: ひきこもり相談支援を行う自治体を拡大し、当事者の居場所づくりに取り組む自治体を交付金で支援するメニューを新設します。
  • 職業的自立: 地域若者サポートステーションにおいて、公認心理師等を活用した相談を拡充します。
  • 柔軟な就労機会: すぐに一般企業で働くことが難しい方のため、中間的就労(支援を受けながら柔軟に働くこと)の機会を創出し、積極的に活用します。

1.3 高齢期を見据えた支援

将来への不安を軽減し、安定した老後を支えるための支援です。

  • 家計改善・資産形成: 生活困窮者向けの家計改善支援を拡充し、金融経済教育も提供します。
  • 高齢期の就業: 65歳以降も希望に応じて働けるよう、65歳超雇用推進助成金を充実させます。
  • 年金: 年金改正法案を早期に成立させ、短時間労働者への被用者保険の適用を拡大します。
  • 住宅確保: 低廉な公営住宅や、見守りサービスが付いた居住サポート住宅の創設・普及を進めます。

次章では、40歳代・50歳代の「おひとりさま世帯」にしぼって、その貯蓄額の具体的なデータを見ていきましょう。