日銀の資金循環(2020年第2四半期)によれば、個人金融資産(総額1883兆円)に占める現預金の比率は約55%と、ゼロ金利にもかかわらず高い比率を維持しています。株式は約9%、投資信託は4%弱でこの傾向は長年変わりません。金額ベースで見る限り、ほとんどの日本人は投資をしていないということになります(図表1)。

図表1:個人金融資産の内訳 〜現金・預金比率が漸増、株式・投資信託は漸減〜

出所:日本銀行調査統計局・資金循環(2020年第2四半期)より抜粋


この傾向は、1980年代後半のバブル絶頂期でもほとんど変わらず、当時も一部の個人投資家が株式投資を行うのが主流だったにすぎません。投資信託はあくまでも株式投資を補完する位置付けの金融商品でした。

当時は中期国債ファンドが爆発的に売れましたが、それは預貯金以上の利回りと日次流動性があったからです。その後、国債利回りはほぼゼロ%まで低下しましたから、この人気ファンドも消え、国債に運用する投資信託のカテゴリー自体がなくなったと言っても過言ではありません。

投資は儲からないから老後資金は預貯金で備える?

加えて、1990年初頭のバブル崩壊から日本の株価は低迷してきました。足元では日経平均株価が3万円をうかがう展開になっていますが、それでもまだピーク時の7割程度の回復です。そのため、そもそも投資は儲からないものだと認識されているのです。