「自分で年金を作る」制度を活用する
これまで見てきたとおり、年金の受給金額は厚生年金受給者か否か、また厚生年金の場合はその年収の高さや納付月数によって大きく変動してくるということが分かりました。例えば、夫婦共働きで厚生年金を受給することができるのであれば、ある程度余裕のある老後を送ることができるかもしれません。しかしながら夫婦共に国民年金の受給の場合は40年間滞りなく保険料を支払ってきていたとしても、最大で14万円ほどしか受給することができません。夫婦2人で過ごしていく額としては少し心もとない金額といえるでしょう。自分たちは一体年金をいくら受け取ることができるのか、早めのうちからその額を予測し、もし受給金額が少ないと不安になった場合には今から老後資金の準備をしていく必要があります。
もちろん普通預金などで老後の貯蓄をしているという方も多いかと思いますが、「自分で年金を作る」という国の制度を有効的に使うということも一つの手段となります。
例えばそのうちの1つであるiDeCoは節税をしながら将来の年金を準備することができる制度で、2020年9月現在約170万人が加入しています。iDeCoは掛金が全額所得控除対象となり、またその運用益に所得税がかからないなどのメリットがあり、会社員などで所得税などを支払っている人にとってはそれだけでもやる価値のある制度といえるでしょう。
少子高齢化が叫ばれる現代、これから高齢化が大幅に進むと年金の受給額が減額されるという未来も多いに想像ができます。公的年金に頼るだけではなく、「自分で年金を作り老後に備える」ということにも目を向け、いつかやってくる老後の準備を早めからスタートさせておくべきではないでしょうか。
参照
- 金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」
- 日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ・繰下げ受給」
- iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について」
多田 秋