年金は老後の生活を支える柱です。厚生労働省が公表した「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金の平均受給額は厚生年金で約14万6000円、国民年金では約5万6000円でした。「40年間会社勤めをしていた夫と専業主婦のモデル世帯」がもらえる年金は20万円前後になると考えられます。

一方、年金受給中のパートナーに万が一のことがあった場合、もらえる年金額はどう変わるのでしょうか。今回は、厚生労働省や日本年金機構の資料をもとに、整理していきます。

年金受給者が死亡したときの手続き

年金受給者が亡くなったら、厚生年金なら10日以内、国民年金なら14日以内に年金受給権者の死亡届を年金事務所などの窓口に提出します。ただし、日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は原則的に不要です。

年金は後払い制なので、生計を同じくしていた遺族がいれば必ず未支給年金を受け取れます。死亡届の提出にあわせて未支給年金の届出も済ませましょう。

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遺族年金がもらえるケース

パートナーが亡くなったとき、その人に生計を維持されていた遺族は一定の条件を満たす場合に遺族年金を受け取れます。

遺族基礎年金

国民年金加入者や老齢基礎年金の受給者が亡くなったとき、一定の条件を満たすと遺族は遺族基礎年金の支給対象となります。

遺族基礎年金を受給できるのは、死亡した人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」と「子」のみです。「子」とは、18歳になる年度の末日を経過していない子ども(または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども)を意味します。

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遺族厚生年金

会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者で一定の条件を満たす人が亡くなったとき、遺族は遺族基礎年金および遺族厚生年金の支給対象となります。

遺族厚生年金が受給できる対象者は下記の通りです。

  • 妻(夫の死亡時に30歳未満でかつ子のいない妻は、5年間の有期給付)
  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の者)
  • 55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳から)

夫に生計を維持されていた妻が夫を亡くした場合、夫が死亡したときから一生涯遺族厚生年金を受給できます。ただし、再婚などをすると支給停止となります。

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自分の老齢年金をもらうと、遺族年金はどうなる?

年金制度は「1人1年金」が原則とされ、自分自身の老齢基礎年金と遺族基礎年金は同時には受け取れません。

一方、遺族厚生年金をもらっていた人が65歳になって老齢厚生年金を受ける権利が発生した場合は、自分の老齢厚生年金が全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止となります。

遺族厚生年金よりも自分の老齢厚生年金のほうが多い場合では、遺族厚生年金は全額支給停止になります。自分の老齢厚生年金がなければ遺族厚生年金は減額されません。

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パートナーに先立たれたとき、考えたいこと。

夫婦がそろって年金をもらえる年代まで元気でいれば、家計は2人分の年金で支えられます。一方、片方が亡くなると、たとえ遺族年金をもらえたとしても生活費が半分になるわけではないため、条件によっては生活がかなり苦しくなることが予想されます。

ここからは、パートナーが亡くなったときにできることについて考えます。

長く働く

老後もできるだけ長く働けば収入を確保できます。総務省の2019年労働力調査によると、65歳以上の就業者数は892万人で、前年よりも30万人も増えています。現役時代から長く働けるスキルを身に付けて、老後も就労できるように準備しておくことも検討しましょう。

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年金の繰下げ受給をする

年金は原則的に65歳になると受給できますが、66歳から70歳までの期間は1カ月単位で繰下げ受給ができ、最大42%の増額が可能です。たとえば65歳で10万円の年金が受給できる場合なら、最大で14万2,000円になる、という計算ですね、2022年4月からは75歳まで繰下げられるようになり、最大84%まで増額できます。

66歳以降に繰下げ請求をした場合は、自分の好きなタイミングで「繰下げで増額された年金の受給」または「増額のない年金を65歳にさかのぼって受給」のどちらか一方を選択できます。「さかのぼった受給」を選ぶと、それまでにもらえるはずだった年金をまとめて受け取れます。ただし、もらえる年金は5年で時効となるため、70歳到達月までに請求しないと支払われない部分が発生します。

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働きながら年金をもらう

働きながら年金受給をするという方法もあります。ただし、「在職老齢年金制度」によって、基準額を超えた年金の一部または全部が支給停止となります。支給停止となった部分は繰下げても増額されません。2022年4月からは60歳~65歳未満の基準額が引き上げられ、60歳以降はすべて月47万円となるため、より働きやすくなるでしょう。

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まとめにかえて

年金受給中のパートナーが亡くなるという状況では、自分自身も高齢になっている可能性が高いかもしれません。高齢になってからではできることが限られてしまうため、若いうちに資産運用を始めておくのも1つの方法です。

なかでも、iDeCoやNISAは資産形成に役立つ国の制度です。節税対策にもなるため、将来もらえる年金に不安を感じた時点で利用を検討してみましょう。

一方、長く働きたいと思っていたとしても、まずは健康でなくてはできません。心身ともに健康な老後生活を送れるように、日々の生活に心配りをするのもまた「老後の備え」となるでしょう。

参考資料

LIMO編集部